研究機関や文化施設のホームページには、研究成果、所蔵資料、刊行物、イベント情報、さまざまなデータベースなど、多くの情報が掲載されています。

長く活動している機関ほど情報は増えていきますが、掲載する情報が多いだけでは、利用者にとって使いやすいホームページにはなりません。

たとえば、次のような状態になっていないでしょうか。

  • データベースが複数あり、どれを使えばよいか分からない
  • 欲しい資料がどこにあるのか分からない
  • 専門用語が多く、内容を判断しにくい
  • 部署ごとに情報が分かれていて、関連情報を探しにくい
  • 検索しても、思ったような結果が表示されない

こうした問題を防ぐために必要なのが、ホームページを作る前の「情報整理」です。

情報は「分類する」だけでなく、使いやすく整理する

情報整理には、大きく分けて「分類」と「組織化」という考え方があります。

分類とは、似た情報をグループに分けることです。

たとえば、文化財に関する情報であれば、次のように分けられます。

  • 絵画、彫刻、建築などの分野
  • 写真、論文、映像などの資料形式
  • 地域や年代
  • 研究テーマ
  • 公開中、来館閲覧のみなどの利用条件

情報を分類することで、検索や比較がしやすくなります。

一方、組織化とは、分類した情報を利用者が使いやすいように並べたり、関連付けたりすることです。

同じ写真資料でも、研究者は作家名や年代から探すかもしれません。一般の利用者は、地域や文化財の種類から探す可能性があります。

そのため、情報を種類ごとに分けるだけでなく、「誰が、どのような目的で使うのか」を考えて整理する必要があります。

データベースには「何を探せるか」を明記する

複数のデータベースを公開している機関では、一覧ページに正式名称だけを並べていることがあります。

しかし、初めて訪れた人は、名称を見ただけでは違いを判断できません。

データベースを紹介するときは、次のような情報を添えると分かりやすくなります。

  • どのような資料を探せるのか
  • どのような人に向いているのか
  • 何を条件に検索できるのか
  • 画像や本文まで閲覧できるのか
  • 来館や利用申請が必要なのか
  • ほかのデータベースと何が違うのか

利用者が知りたいのは、データベースの正式名称だけではありません。

「自分の調べたいことに使えるかどうか」を判断できる説明が必要です。

名称の下に短い説明を加えるだけでも、使いやすさは大きく変わります。

ホームページの入口は利用者の目的から考える

研究機関のホームページは、内部の部署や研究部門に合わせて作られることがあります。

組織を紹介するページとしては問題ありませんが、資料を探している利用者が、担当部署まで知っているとは限りません。

利用者が求めているのは、部署名ではなく、次のような目的への入口です。

  • 資料を探す
  • 研究成果を読む
  • データベースを利用する
  • 所蔵資料を閲覧する
  • イベントに参加する
  • 画像の利用方法を確認する
  • 問い合わせや取材を申し込む

ホームページのメニューやトップページの導線も、こうした利用者の行動に合わせて考える必要があります。

組織を紹介するページと、目的の情報を探すためのページを分けて設計することが大切です。

専門用語や正式名称には短い説明を添える

研究機関では、正確さを保つために専門用語や正式名称を使う必要があります。

ただし、それらをそのままメニューや見出しに使うと、一般の利用者には内容が伝わらないことがあります。

専門用語をすべて簡単な言葉に変える必要はありません。正式名称を残しながら、短い説明を添える方法があります。

たとえば、次のような見せ方です。

写真資料データベース
文化財や調査記録の写真を、地域や年代から探せます。

文献データベース
文化財に関する論文や書籍、展覧会図録などを検索できます。

所蔵資料の閲覧案内
オンラインで公開していない資料を閲覧するための手続きを案内します。

専門性を保ちながら、初めて訪れた人にも内容が伝わるようにすることが重要です。

検索機能とあわせて、探し方の入口を用意する

情報が増えると、検索窓を設置すれば解決できると思われがちです。

しかし、利用者が適切な検索語を知らなければ、目的の情報は見つけられません。

また、資料名の表記が異なっていたり、旧名称と現在の名称が混在していたりすると、検索結果に表示されない場合もあります。

そのため、検索機能だけでなく、次のような探し方も用意する必要があります。

  • 分野や年代から絞り込む
  • 資料の種類から探す
  • 検索例を表示する
  • よく使われる条件を案内する
  • 関連する言葉や別名からも探せるようにする
  • 検索結果がない場合に、別の探し方を案内する

検索は便利な機能ですが、情報整理の代わりにはなりません。

あらかじめ情報を分かりやすく整理し、そのうえで検索や絞り込みを用意することが大切です。

情報量の多いホームページを作る前に確認したいこと

情報量の多いホームページを作るときは、デザインを考える前に、現在保有している情報を確認します。

たとえば、次のような項目です。

  • どのような情報を保有しているか
  • 誰に向けて公開するのか
  • 利用者は何を目的に訪れるのか
  • 同じ情報が複数の場所に重複していないか
  • どの情報をオンラインで公開できるか
  • 来館や申請が必要な情報は何か
  • 今後、どのような情報が追加されるか
  • 誰が更新や管理を担当するか

現在あるページを並べ替えるだけではなく、今後情報が増えても整理された状態を保てるように設計することが重要です。

ホームページ公開後の更新方法まで考えておかなければ、時間がたつにつれて情報が分散し、再び探しにくくなってしまいます。

情報は、見つけられて初めて活用される

研究機関が長年蓄積してきた資料や研究成果には、大きな価値があります。

しかし、ホームページに掲載されていても、利用者が見つけられなければ十分に活用されません。

ホームページの情報整理とは、情報を減らすことではありません。

利用者が何を探しているのかを考え、分かりやすく分類し、適切な名前を付け、関連する情報へ移動できるようにすることです。

「どのような情報を持っているか」だけでなく、「誰が、どのように探し、利用するのか」まで考えることで、多くの資料やデータベースを活かせるホームページになります。

情報整理からホームページの構成を見直しませんか

資料やデータベースが増えるほど、ホームページの整理は難しくなります。

ページのデザインを整えるだけではなく、利用者の目的、情報の分類、検索方法、関連ページへの導線まで含めて設計することが大切です。

「情報が多く、どこから整理すればよいか分からない」「複数のデータベースを分かりやすく案内したい」といった課題がある場合は、現在の情報を確認するところからご相談ください。

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投稿者プロフィール

kinoshita
kinoshita
Webデザイナー。中小企業のコーポレートサイトを中心に、見た目だけでなく、情報の伝わり方や使いやすさを踏まえたデザインを担当。