情報量が多い

Webサイトを運用していると、少しずつ情報が増えていきます。

新しいサービスページを追加する。
お知らせや実績、活動報告が蓄積される。
関連サイトや外部サービスへのリンクも増えていく。

一つひとつの情報は、必要があって追加されたものです。しかし、時間が経つにつれて、Webサイト全体としては「何を伝えるサイトなのか」が見えにくくなることがあります。

リニューアル検討時によくある相談

担当者の方から、こうした相談を受けることがあります。

「組織全体として、何をしているのかが伝わりにくい」
「事業ごとに情報が分かれていて、全体像が見えない」
「ページ数が多く、必要な情報にたどり着きにくい」
「利用者がサイト内を回遊せず、途中で離脱している」
「活動内容や社会的な役割が、十分に伝わっていない」

社内では必要な情報を載せているつもりでも、初めて訪れる人にとっては、どこから見ればよいのかわからない。

担当者としても、どのページを残し、どのページを統合し、どの情報を新しく作るべきか判断しづらい。

情報が増えたサイトのリニューアルでは、このような状態がよく起こります。

これは、特定の業種だけの問題ではありません。
企業サイト、大学・研究機関のサイト、公共団体のサイト、採用サイト、サービスサイトなど、ある程度の期間運用されてきたWebサイトではよく起こる課題です。

情報量が多いこと自体が問題なのではない

まず整理しておきたいのは、情報が多いこと自体が悪いわけではない、ということです。

むしろ、事業内容が多岐にわたる組織や、専門性の高いサービスを扱う企業では、必要な情報が多くなるのは自然なことです。活動が増えれば、ページも増えます。伝えるべき対象が増えれば、コンテンツの種類も増えます。

問題は、情報が多いことではありません。情報同士の関係が見えなくなることです。

たとえば、事業A、事業B、事業Cのページがそれぞれ存在していても、それらが組織全体の中でどのような位置づけなのかが伝わらなければ、訪問者は全体像をつかめません。

各ページには正しい情報が書かれている。
でも、サイト全体として見ると、何をしている組織なのかが伝わらない。

こうした状態は、Webサイトの中身が不足しているというより、構造が整理されていない状態だと考えた方がよいでしょう。

利用者は、意図したとおりに情報にたどりつくとは限らない

Webサイトを整理するときに注意したいのは、発信する側の分類と、利用者の探し方は必ずしも一致しないということです。

情報設計や導線設計とは、利用者が目的を達成しやすいように、情報を配置しゴールへと導くことだと考えています。

サイトを訪れる利用者が考えているのは、多くの場合、次のようなことです。

  • 自分が探している情報はどこにあるのか
  • この組織はどんなことをサポートしてくれるのか
  • 検討するために、もっと詳しい情報はないのか
  • 問い合わせる価値があるだろうか

利用者は意図を持ってサイトを訪れています。そのため、発信する側が見て欲しいと意図したとおりに行動するとは限りません。

利用者の意図とズレが生じれば、使いにくいサイト、わかりにくいサイトになってしまいます。特に情報量が多いサイトでは、どこにどの情報があるのかわかりにくくなりがちです。

だからこそ、Webサイトのリニューアルでは、単にページを作り替えるだけでなく、利用者の目的に沿って情報を再構成することが重要になります。

「何をしている組織か」が伝わらない理由

組織の役割が伝わりにくいWebサイトには、いくつかの共通点があります。

一つは、事業やサービスの説明が個別に存在している一方で、それらを束ねる考え方が弱いことです。

ページごとには説明がある。でも、全体として何を目指しているのか、どのような課題に応えているのか、誰にとって必要な存在なのかが見えにくい。

この場合、必要なのは単なる文章の書き換えではありません。
組織の役割を、利用者に伝わる言葉で再定義することです。

もう一つは、トップページや主要ページが、情報の入口として機能していないことです。

トップページに新着情報やバナーが並んでいても、訪問者が「自分はどこを見ればよいか」を判断できなければ、次の行動につながりません。

特に情報量の多いサイトでは、トップページは単なる案内板ではなく、全体像を理解するための地図として設計する必要があります。

サイトマップは、ページ一覧ではなく「理解の順番」を設計するもの

リニューアルの初期段階では、現状のサイトマップを検証しながら、新たなサイトマップを作成します。
ただし、サイトマップは単なるページ一覧ではありません。

どの情報を上位に置くのか。
どの情報をまとめるのか。
どの情報を分けるのか。
利用者がどの順番で理解すれば、迷わず目的の情報にたどり着けるのか。

こうした「理解の順番」を設計することが、サイトマップ設計の本来の役割です。

既存サイトのページをそのまま並べ替えるだけでは、根本的な改善にならないこともあります。
古いページ、重複しているページ、役割があいまいなページを整理しながら、必要な情報を再配置していく必要があります。

このとき大切なのは、ページ数を減らすこと自体を目的にしないことです。

わかりにくいサイトが必ずしも情報過多の状態にあるとは限りません。

減らすべき情報もあれば、逆に補うべき情報もあります。
隠れていた価値を見えるようにするために、新しいページが必要になることもあります。

ページ数を減らしたい、文字量を減らしたいという相談を受けることがありますが、重要なのは、情報量ではなく、情報の役割です。

回遊しづらいサイトは、導線ではなく文脈が切れている

「サイト内を回遊しづらい」という課題もよくあります。

このとき、単にボタンやリンクを増やせばよいとは限りません。
リンクはあるのにクリックされない。
関連ページは用意されているのに読まれない。
CTAを置いても、次の行動につながらない。

その原因は、導線の不足ではなく、文脈の不足にあることがあります。

利用者があるページを読んだあとに、次に何を知りたくなるのか。
どの情報を読むと、理解が深まるのか。
問い合わせや相談の前に、どの不安を解消しておくべきなのか。

この流れが設計されていないと、リンクを置いても自然な回遊は生まれません。

回遊導線は、見て欲しいページにリンクを張ると考えるのではなく、利用者が次にとる行動はなんだろうと考えることです。

たとえば、記事の「前編」を読んだ後に、「後編」へのリンクがあれば自然にクリックしてもらえる可能性は高くなるでしょう。

Webサイトの導線設計とは、単にページ同士をつなぐことではありません。
利用者の関心や疑問の流れに沿って、情報をつなぐことです。

リニューアル前に整理したいこと

情報量の多いWebサイトをリニューアルする場合、最初に考えるべきことは、デザインの方向性やページ数だけではありません。

まずは、次のような問いを整理することが大切です。

このサイトは、誰に向けたサイトなのか。
訪問者は、何を知りたくてサイトに来るのか。
組織として、最初に伝えるべき役割は何か。
事業やサービスは、どのような考え方で整理できるのか。
利用者が目的の情報にたどり着くために、どのような導線が必要か。
問い合わせや利用、応募などの行動につなげるために、どの情報が不足しているか。

利用者が目的を達成するために、どのような情報やナビゲーションを提供すれば次の行動のサポートができるのかと考えると、構造や必要な情報、ページ間の関係性が見えてきます。

これらを整理せずに制作へ進むと、見た目は新しくなっても、わかりにくさや使いにくさが残ってしまう可能性があります。

逆に、最初の段階で情報整理と構造設計を丁寧に行えば、デザインや文章、CMS設計にも一貫性が生まれます。

進め方がわからないことも、リニューアルの課題である

情報整理を伴うWebサイトリニューアルでは、担当者自身も「どこから手をつければよいかわからない」と感じることがあります。

何を準備すればよいのか。
どこまで社内で整理しておくべきなのか。
制作会社には何を相談できるのか。
費用はどのくらいかかるのか。
公開までにどのくらいの期間が必要なのか。

こうした不安は、とても自然なものです。

特に、情報量が多く、関係者も多いサイトでは、最初から正確なページ数や仕様を決めきることが難しい場合もあります。

そのため、まずは現状サイトの課題を整理し、利用者像やサイトの役割を確認したうえで、必要なページ構成や進め方を設計していくことが重要です。

Webサイトのリニューアルは、単なる制作作業ではありません。
組織の情報を整理し、利用者に伝わる形へ再構成するプロジェクトです。

情報を整理すると、組織の価値が伝わりやすくなる

Webサイトがわかりにくくなる原因は、情報が足りないからとは限りません。
むしろ、情報はあるのに、伝わる構造になっていないことが多くあります。

組織の役割。
事業やサービスの関係性。
利用者ごとに必要な情報。
活動の意義や実績。
問い合わせや利用につながる導線。

これらを整理することで、Webサイトは単なる情報置き場ではなく、組織の価値を伝える場所になります。

「情報が増えてきた」
「サイト全体の構造が複雑になってきた」
「何をしている組織なのか、うまく伝わっていない気がする」

そう感じている場合は、デザインを変える前に、まず情報の整理から見直してみることが大切です。

情報が多くなったWebサイトのリニューアルでは、最初からページ数や仕様を決めきれないことも少なくありません。

ブリッジでは、要件が固まりきっていない段階から、現状サイトの課題整理、情報設計、サイトマップ設計、導線設計を一緒に考えています。

「何から整理すればよいかわからない」「費用感やスケジュール感を知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。企業とユーザーの文脈設計を得意としている。公益財団法人画像情報教育振興協会委員