AI時代 企業発信:アイキャッチ画像

企業のホームページやコラムでは、これまで「役立つ情報を発信すること」が大切だと言われてきました。

専門知識をわかりやすく整理した記事や、サービスを選ぶときのポイント、よくある疑問への回答。こうした情報は今でも必要ですし、検索から自社を知ってもらう入口にもなります。

ただ、AIが身近になった今、少し状況が変わってきたように感じます。

知りたいことがあればAIに質問すれば、ある程度整理された答えがすぐに返ってきます。「○○とは」「○○のメリット」「○○を選ぶポイント」といった一般的な情報であれば、以前より簡単に手に入るようになりました。

そうなると、企業が発信する情報にも、これまでとは少し違う役割が求められるのではないでしょうか。

私たちはこれから、正しい情報を届けることに加えて、「この会社はどう考えているのか」が見える発信も大切になると考えています。

正しい情報だけでは、会社の違いが見えにくくなっている

たとえば、同じ業界の会社をいくつか調べてみると、似たような内容が並んでいることがあります。

サービスの特徴、導入するメリット、選び方、よくある質問。

もちろん、どの会社も間違ったことを書いているわけではありません。むしろ、正確に情報を整理しようとすればするほど、似た内容になるのは自然なことです。

そこにAIによる情報生成も加わり、一般的なノウハウや解説は、これからさらに均質化していく可能性があります。

では、同じような情報が並ぶ中で、ユーザーは何を見て会社を選ぶのでしょうか。

価格や実績、サービス内容も大切です。

それと同時に、

「この会社は自分たちの課題をどう捉えるのか」
「何を大切にして仕事をしているのか」
「自分たちとは相性が良さそうか」

といったことも、判断材料になるのではないでしょうか。

同じサービスでも、「どう考えるか」は会社によって違う

提供しているサービスが似ていても、会社ごとに仕事の進め方や判断基準は違います。

たとえば、Webサイトを制作する会社でも、公開時点でできる限り完成度を高めることを重視する会社もあれば、公開後の運用を前提として、まず必要な状態をつくってから育てていくことを大切にする会社もあります。

同じ「Web制作」というサービスでも、どちらを選ぶかによって、進め方はかなり変わります。

これはWeb制作に限りません。

コンサルティングであれば、短期間で成果を出すことを優先するのか、社内にノウハウが残ることを重視するのか。研修であれば、知識を教えることを大切にするのか、参加者自身が気づくことを重視するのか。

正解が一つあるわけではありません。

だからこそ、その会社が何を大切にし、どんな考え方で仕事をしているのかが見えることには意味があります。

「他社にはない強み」を無理に探さなくてもいい

差別化を考えるとき、「競合にはなくて、自社だけにあるものは何だろう」と考えがちです。

けれど、実際にはまったく同じサービスを提供している会社は少なくありませんし、機能や価格だけで明確な違いをつくるのが難しい業界もあります。

そんなときは、無理に特別な言葉をつくるより、普段の仕事の中にある判断を振り返ってみる方が、その会社らしさが見えてくることがあります。

なぜ、その提案をするのか。
なぜ、その方法はおすすめしないのか。
依頼されたことでも、必要がないと思えば別の方法を提案するのか。
仕事を進めるうえで、何を優先しているのか。

普段は当たり前すぎて、わざわざ発信するほどでもないと思っていることの中に、その会社ならではの考え方が隠れていることがあります。

それは派手な「強み」ではないかもしれません。

でも、ユーザーにとっては、会社を選ぶうえで意外と重要な情報です。

考え方が見えると、「自分に合うか」を判断しやすくなる

会社の考え方を発信する目的は、格好良く見せることではありません。

ユーザーが、自分との相性を判断しやすくするためでもあります。

たとえば、「私たちはお客様の指示どおりにつくることよりも、目的を確認しながら一緒に考えることを大切にしています」と書かれていたとします。

一緒に相談しながら進めたい人にとっては、安心材料になるでしょう。

一方で、「必要なものはすべて決まっているので、そのとおり短期間で制作してほしい」という人には、別の会社の方が合うかもしれません。

それでいいのだと思います。

すべての人から選ばれることよりも、考え方を理解したうえで「ここなら合いそう」と思ってもらう方が、その後の仕事も進めやすくなります。

企業の立場や考え方を伝えることは、差別化だけでなく、ミスマッチを減らすことにもつながります。

コラムは、会社の考え方を少しずつ伝える場所になる

こうした考え方は、サービスページだけですべて伝えようとすると、どうしても抽象的になりがちです。

そこで活用しやすいのが、コラムです。

日々の仕事の中で感じたことや、顧客からよく相談されること、業界で当たり前とされていることに対して、自分たちはどう考えているのか。

一つの記事で会社の価値観をすべて説明する必要はありません。

「問い合わせ数が多ければ、本当に良いホームページなのか」
「ホームページは公開したら完成なのか」
「競合と違って見せることが、本当に差別化なのか」

そんな身近な問いに対して、自分たちなりの考えを少しずつ発信していく。

その積み重ねによって、「この会社はこういう視点で仕事をするんだ」という輪郭が見えてきます。

AI時代だからこそ、「その会社から出てきた情報」を

AIを使えば、一般的な情報を整理することはこれまで以上に簡単になります。

だからといって、ノウハウ記事が必要なくなるわけではありません。

ただ、これから企業が発信するコンテンツには、一般的な正解だけではなく、経験を通してどう考えたのか、どんな立場を取るのかという情報も、より重要になっていくのではないでしょうか。

それはAI対策のためだけではありません。

人が会社を知り、比較し、「この会社に相談してみたい」と思うためにも、その会社にしか書けない情報が必要だからです。

「何を知っている会社なのか」だけではなく、
「どう考える会社なのか」。

私たちは、これからの企業サイトやコラムでは、そんな部分も少しずつ伝えていくことが大切だと考えています。

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kinoshita
Webデザイナー。中小企業のコーポレートサイトを中心に、見た目だけでなく、情報の伝わり方や使いやすさを踏まえたデザインを担当。