
企業のホームページでは、正しい情報を載せることが大前提です。
サービス内容、料金、実績、会社情報。誤解が生まれないように整理し、できるだけわかりやすく伝える。これはとても大切なことです。
けれど、情報は十分に載っているのに、なぜか問い合わせにつながらない。内容に間違いはないのに、最後まで読まれない。そんなことがあります。
それは、正しく伝えることと、人が動くことは同じではないからかもしれません。
今回は、ホームページで情報を伝えるときに、私たちが大切だと考えていることについてお話しします。
正しい情報は、まず安心につながる
たとえば、初めて知った会社のホームページを見るとき。
サービスの内容がよくわからない。料金の考え方も見えない。会社情報もほとんど載っていない。そんな状態では、なかなか問い合わせようとは思えません。
反対に、必要な情報がきちんと整理されていれば、「ちゃんとした会社なのだろう」「ここなら話を聞いてみてもよさそうだ」と感じやすくなります。
そう考えると、正しい情報を掲載することは、ユーザーの不安を減らすために欠かせません。
ただ、それだけで「ここに相談したい」と思ってもらえるとは限りません。
情報を確認して安心することと、実際に行動することの間には、もう一段階あるからです。
人は、その情報が「自分に関係あるか」を見ている
たとえば、あるサービスサイトに「導入実績300社」と書かれていたとします。
企業側としては、たくさんの会社に選ばれていることを伝えたいはずです。
でも、それを見た人が考えることは少し違います。
自分たちと同じくらいの規模の会社も使っているのだろうか。
自分たちの業界でも使えるのだろうか。
今抱えている課題にも対応できそうだろうか。
つまり、ユーザーは数字そのものを見ているだけではありません。
その情報が、自分にどう関係するのかを考えています。
「高い専門性があります」「柔軟に対応します」「手厚くサポートします」といった言葉も同じです。
企業側では十分な説明だと思っていても、ユーザーが「それなら自分たちにも合いそうだ」と想像できなければ、その情報はそこで止まってしまいます。
「すごい会社」より、「自分に合う会社」を探している
企業サイトをつくるときは、どうしても自社の良さを伝えたくなります。
長い歴史がある。実績が豊富。専門知識がある。幅広い要望に対応できる。
どれも信頼につながる大切な情報です。
ただ、ユーザーが探しているのは、必ずしも一番すごい会社ではありません。
自分たちの話を理解してくれそうか。
無理のない進め方ができそうか。
相談したあとに、きちんと向き合ってもらえそうか。
そうした「相性」も含めて判断しています。
だからこそ、自社の強さを証明するだけではなく、どんな相手に、どんな場面で力になれるのかまで伝えることが大切だと思います。
そこまで見えてくると、ユーザーはようやく「自分たちのための情報」として受け取れるようになります。
人の心を動かすことは、煽ることではない
「人を動かす」と聞くと、強いコピーや感情的な表現を思い浮かべるかもしれません。
「今すぐ行動してください」
「知らないと損をします」
そんな強い言葉を使えば、人の気持ちを動かせるようにも見えます。
でも、私たちが大切だと考えているのは、そういうことではありません。
「自分と同じような悩みを持つ人がいるんだ」
「この会社なら事情をわかってくれそう」
「いきなり売り込まれるわけではなさそう」
そう感じてもらうことも、十分に人の心が動く瞬間です。
安心したり、共感したり、少し先の未来を想像できたりする。
そうした小さな感情があるから、そのあとにサービス内容や実績を確認し、「ここなら相談してみよう」と次の行動につながります。
論理と感情は、どちらか一方では足りない
もちろん、気持ちに寄り添うだけでは十分ではありません。
「あなたの悩みに寄り添います」と書いてあっても、具体的に何ができるのかわからなければ、やはり不安は残ります。
反対に、機能や実績、料金を細かく説明しても、「自分に必要なものなのか」が見えなければ、読み進めてもらえないかもしれません。
必要なのは、感情か論理か、どちらかを選ぶことではありません。
まず「自分に関係がありそう」と感じてもらい、そのあとで「なぜそう言えるのか」を確認してもらう。
たとえば、
「こんな悩みを持つ方に向いています」
と伝えたあとに、
「なぜ向いているのか」
「どんな支援ができるのか」
「これまでどんな事例があるのか」
を見せていく。
この順番なら、情報がただ並んでいるのではなく、一つひとつに意味が生まれます。
同じ情報でも、伝える順番で印象は変わる
ホームページでは、何を書くかだけでなく、どの順番で伝えるかも重要です。
たとえば、最初に会社の歴史を長く説明するサイトと、最初に「どんな悩みに対応しているか」を示すサイト。
載っている情報が同じでも、受け取られ方は大きく変わります。
サービスの機能を最初から細かく説明するよりも、「こんな状況で役立ちます」と伝えてから機能を見せた方が、理解しやすいこともあります。
ユーザーは、企業が用意した情報を一つずつ公平に読んでくれるわけではありません。
「これは自分に関係ありそうだ」と感じたときに、初めてその先を知ろうとします。
だからこそ、私たちは情報の量だけではなく、相手がどのような順番で理解していくのかまで考えることが必要だと思っています。
「正しく伝える」から、「届くように伝える」へ
ホームページでは、情報に間違いがないことは大切です。
でも、「正しく書いてあるから伝わる」とは限りません。
その情報を見た人が、自分との関係を想像できるか。
少し安心できるか。
続きを知りたいと思えるか。
相談してみようと思えるか。
そこまで考えて初めて、情報は人に届くのではないでしょうか。
企業が伝えたいことを正しく載せる。
そのうえで、相手がどう受け取り、どう感じ、どう判断するのかまで考える。
私たちは、ホームページをつくるときに、そんな視点を大切にしたいと考えています。
「正しく伝える」だけでなく、「届くように伝える」。
その違いが、人の次の行動につながっていくのだと思います。
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投稿者プロフィール
- Webデザイナー。中小企業のコーポレートサイトを中心に、見た目だけでなく、情報の伝わり方や使いやすさを踏まえたデザインを担当。
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