プロジェクト管理は変更管理

橋本です。

ホームページ制作、web制作の現場でプロジェクト管理の手法が取り入れられることが増え、クライアントとのコミュニケーションにおいても重要な役割を果たすようになりました。

プロジェクト管理というと真っ先にスケジュールを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実際には、プロジェクト全体の管理から、スコープ、スケジュール、リスク、コスト、稼働などいくつもの要素をコントロールしながらプロジェクトは進んでいきます。

ブリッジでは、自社のみで請け負うプロジェクトもあれば、大規模プロジェクトのメンバーの一員として他社と一緒に参画するケースもありますが、プロジェクトの規模の大小はありますが、管理についての考え方は原則としていつも同じです。

プロジェクトは思った通りには進まないという大前提

最初にこんなことを言ってしまうと身も蓋もないのですが、プロジェクトは思った通りには進まないという大前提のものとで進めていく必要があります。管理項目を細分化して全体を計画、設計したとしても、それはあくまでも計画に過ぎません。クライアントも含めたメンバー全員の合意のもと計画に沿って進めていきますが、多かれ少なかれ誤差は生じますし、想定していなかったことは起きるものです。

スケジュール管理がわかりやすいでしょう。「バッファを多めに見てある」なんて声を聞くこともありますが、その時点でその項目は不確定要素だということ。そのバッファは十分かもしれないし、もしかしたら足りないかもしれません。

プロジェクトを進めていく中で、当初は想定していなかったタスクが発生することもあります。計画段階でベストは尽くすけれど、全てを予測し、完璧にコントロールするのは不可能です。規模が大きくなれば大きくなるほど、関わる人が多くなり、コントロールすべき要素は増えていきますし。

計画通りに進まないことを悪とする人もいますが、僕はプロジェクトは思った通りに進まないと思っているので、事実として受け止めて次のアクションを考えて実行していくだけです。

プロジェクト管理は変更管理

最初に計画した通りに美しく進めば良いですが、何かしらの調整や変更が必要になることがほとんどです。

例えば、タスク消化に遅れが出る場合には、後工程をにらみつつ、スケジュールを変更する、もしくはスケジュールは変えずに稼働を上げて対応するのか、といった変更をかけていくことになります。

スケジュール変更が遅延を後工程に背負わせて先延ばしにしただけなんてこともありますし、稼働を上げれば残業や増員による人件費アップにつながり、コストが上がることもあります。

それらも踏まえてプロジェクト全体の中で、どのタイミングでどの変数を調整するのがベストなのか。部分最適を繰り返しながら全体最適を図ります。

プロジェクト管理は変更管理の連続です。

手を入れるべきところの発見に目を光らせ課題を見つけては、あるべき姿との解離が大きくなる前に補正し続けるイメージです。

うまくいかないプロジェクトというのは、部分最適にばかり目がいってしまい、全体的にはものすごい歪な状態になってしまうことが多いように思います。

また、最初の計画に問題があったり、プロジェクトマネージャーが全体を見渡せていない、課題を見つける力がない、解決力がない、調整力がない、そして、人望がない…というケースが多いように感じます。

あえて最後に人望と書いたのは、多くの人が関わるプロジェクトであればあるほど、人を動かす力がないと進まないからです。属人的な要素がクリティカルパスになることがあるというのもまた事実です。

もちろんプロジェクトを遂行するメンバーの進め方や技術に課題があるケースもありますが、その場合にはメンバーの変更管理を行う必要があります。

一度任せたからには最後まで責任をもってやってもらおうと思いますし、「外す」「外された」みたいな感情的な禍根を残さないようにしたいと思うのが人間の性ですが、経験上、引っ張ってうまくいったことはないです。

変更管理が難しいプロジェクトもある

短納期や低予算、あるいはその両方のプロジェクトは、調整や変更できる部分が少ない、もしくは存在しないので、リスク管理の比重が上がります。結果としてクライアントからはスコープが狭い、あるいは柔軟性に乏しいと見えることもあるようです。

とはいえ、限られた時間とお金の範囲内でできることは限られているので、クライアントを含めた関係者全員で最初に認識を合わせる必要があります。ここがなし崩しになるとプロジェクトは崩壊します。

実際、十分なスケジュールがとれない、予算がとれないという場合には、スコープをしっかり定義した上で、運用の中で課題を解決していくとした方がうまくいきます。

プロジェクト管理の手法はどこまでいって手法に過ぎません。

ゴールを見据えて、手法にも経験にも頼りすぎることなく、変更を管理しながらうまく進めていきたいものです。

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。