
ホームページをリニューアルするなら、デザインやページ構成を考える前に、整理しておきたいことがあります。
それは、自社が何者で、誰に何を伝え、何を判断してもらいたいのかという前提です。
最近は、AI対策やLLMO、AI検索最適化という言葉を聞く機会も増えました。けれど、AIに選ばれるサイトを考える前に、まず人にもAIにも説明できる状態になっているかを見直す必要があります。
ホームページをリニューアルしたのに、なぜ変わらないのか
ホームページをリニューアルした。デザインも新しくなった。コンテンツも増やした。なのに、問い合わせの件数も質も、以前と大して変わらない。
そんな経験はないでしょうか。
この「リニューアルしたのに変わらなかった」という状況、原因はほぼ決まっています。できあがったサイトの問題ではなく、作る前の前提が揃っていなかったことにあります。
具体的に言うと、こういうことです。
- 自社の強みが整理されていないまま、とりあえずページを作った
- 誰に何を判断してもらいたいのかが曖昧なまま、情報を並べた
- 競合と似たような構成で、違いが伝わらないサイトになった
これらは、デザインを変えても解決しません。施策を追加しても、根本は変わりません。
ホームページが伝わらない原因は、表現より「整理不足」にある
ホームページリニューアルが成果につながらない最大の原因は、デザインや制作会社の選び方ではなく、「自社が何者か」という前提が整理されていないことにある場合が多いです。
「うちのサイトはデザインが古い」「コピーがよくない」という声をよく聞きます。確かにそれも影響しますが、多くの場合、問題はもっと手前にあります。伝わらない原因は、表現ではなく整理不足であることがほとんどです。
たとえば、こんな問いに即座に答えられるでしょうか。
- 自社は、どんな課題を持つ会社に、何を提供できるのか
- 同じようなサービスを提供している競合と、どこが違うのか
- ホームページを見た相手に、最終的に何を判断してもらいたいのか
これらが揃っていれば、表現はあとからついてきます。逆に、ここが曖昧なままだと、どれだけ作り込んでも、選ばれ方は安定しません。
AIの話に戻ると、AIが会社を評価するときも、見ているのはデザインではなく「その会社がどう定義されているか」です。何をしている会社で、どんな課題を扱っていて、どんな立場で仕事をしているか。これが曖昧だと、AIにも説明しづらく、候補に残りにくくなります。
つまり、AI対策として語られていることの多くは、本来やっておくべき「自社の定義の整理」と、ほぼ重なっています。AI対策のためにやるのではなく、まともに伝わるサイトにするためにやる、という順番の方が正しい。
「何でもできます」という会社が選ばれにくい理由
もうひとつ、よくある状態があります。
「幅広いニーズに対応できる会社です」「どんなご要望もお気軽に」という打ち出し方です。悪意はないのはわかります。依頼の間口を広くしたい、という気持ちも理解できます。
ただ、これは選ばれる側からすると、かなりリスクのある状態です。
人は、選択肢が多いとき、最もわかりやすいものを選びます。「何でもできます」という会社と、「この課題なら任せてほしい」という会社が並んでいたら、多くの場合、後者が選ばれます。
軸が明確であることは、間口を狭めることではありません。むしろ、判断しやすい会社になることです。
ホームページリニューアルの前に、まず考えを揃える
ブリッジでは、Web制作のプロセスを「考えを整理する工程」と「考えをもとにカタチにしていく工程」に分けて捉えています。
多くの場合、リニューアルの相談は「作る」「変える」という話から始まります。でも、作る前に一度立ち止まって、こんなことを整理する時間をとるべきだと考えています。
- 自社は何をしている会社なのか
- 誰のどんな課題に、どう応えられるのか
- ホームページで、相手に何を判断してもらいたいのか
これが揃ってから、初めてデザインやコンテンツの議論が意味を持ちます。
整理してみたら、リニューアルより先にやるべきことが見えてくることがとても多いです。
この「考えを整理する工程」は、ブリッジが文脈設計と呼んでいるプロセスそのものです。訪問者の文脈と企業の文脈をどう合わせるか、その設計なしに、ホームページは機能しません。
Webの見直しは、「作る話」よりも「考える話」から始めた方がよいことがあります。
何を変えるべきか。何を残すべきか。そもそも今、本当にリニューアルが必要なのか。
ブリッジでは、作るかどうかの判断も含めて、ホームページのリニューアル前の整理からご相談いただけます。
合わせて読みたい記事
投稿者プロフィール

- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。企業とユーザーの文脈設計を得意としている。公益財団法人画像情報教育振興協会委員
最新の投稿
コンテンツの視点2026/06/14Webコンテンツ制作の進め方。読まれる記事は、書く前の設計で決まる
プロデューサー日誌2026/06/12差別化したいのに、なぜ他社と同じ記事を書いてしまうのか
コンテンツの視点2026/06/03人は文字を読まないのか
プロデューサー日誌2026/06/02検索されるだけでは、選ばれる理由にならない


