WEBデザイナーとして未経験で就職や転職するのは厳しいは本当?社長が答えてみる。

WEBデザイナーとして就職や転職をするのが厳しいという話をよく聞きます。ブリッジにも未経験入社のデザイナーがいますが、就活はかなり厳しかったという話を聞いたことがあります。

現在活躍しているあるデザイナーは未経験での応募でしたが、面談の最中に私の心の中では採用を決めていました。

また、当社にはパートタイムで働く主婦の方もいます。1名は経験者、もう1名は未経験でしたが、その方も面談中に心の中では採用を決めていて、同席したディレクターに面談終了後に確認をとって同じ意見だったので正式に採用となりました。

採用活動では、決まるまで何人かの人と面談をしますが、採用となる人と不採用になる人にはやっぱり違いがあります。

この記事では、WEBデザイナーとして就職や転職するのは厳しいというのは本当かどうか、打開する方法はあるのかをWEB制作会社の社長の視点で答えてみようと思います。これからWEBデザインを仕事にしたい、応募してもなかなか次のステップに進めないという人のヒントになれば嬉しく思います。

未経験でWEBデザイナーになるのは狭き門ではあるけれど

まず、結論から言うと、未経験でWEBデザイナーになるのは狭き門であることは事実だと思います。よく言われることですが、経験者の方が即戦力として期待できるし教育の手間も省けます。

一方で、実務経験がない人はまったくのノーチャンスかというとそうでもないんじゃないかと思っています。

ちゃんと調べたわけではないのですが、未経験でもOKという募集はあるものの多くはなさそうです。応募しても実務経験がないというだけで書類選考で落ちることもあるでしょう。

そういう状況もあってか、これまでの私の経験上、うまくいかない理由を「未経験だから」と自分の中で決め込んでしまっている人が多いように感じます。面談をしてみると、「未経験だから面接の機会すらもらえなくて…」とお話しされる方が多いのですが、「今、その機会じゃん!チャンスじゃん!活かして!がんばって!」って思うんですよね。

せっかく面談にたどりついたのに、そういうマインドの方だと実際にお話をしてみても、入社後にどんなふうに活躍してもらえるのかのイメージが持てないことが多いです。

本当に未経験であることだけが理由なのか

「自分がうまくいかないのは未経験だから」と思っている方は、もしかしたら同じように未経験でも、会ってみたい、話してみたいと思わせる人もいるかもしれないと考えたことはあるでしょうか。採用された人が応募書類に何を書き、面談でどんなプレゼンをしているかと考えたことはあるでしょうか。

採用される人は採用される理由があるし、不採用となる人は不採用となる理由があります。実際のところ、運や縁もあると思います。

もし、未経験だからと考えるを止めてしまっているなと思うなら、その考え方を変えれば何かが変わるかもしれません。実務経験がないという事実は変えられないないけど、考え方とふるまいは変えられます。

これは私の見解であり、他の会社が採用についてどのように考えているかはわかりません。その点をご理解の上、読んで頂ければと思います。ただ、そんなに大きくずれてはいないんじゃないかなぁとは思っています。

簡単に自己紹介をすると、私はWEB業界で25年くらい仕事をしてきて、事業会社、構築系制作会社、広告系制作会社など数社を経験ののち独立、今にいたります。前職までの数社で管理職や役員として新卒や中途の採用にも数多く携わってきました。

私も転職だったので最初は未経験でした。時代は違いますが、今のようにWEB系の会社は少ないし募集も全然なかったので、狭き門というよりも門がどこにあるのかすらわからない状態での転職活動でした。

あの時は会社に入るというよりもどうしたら業界に潜り込めるかを考ていたように思います。ちなみに私はスクールのTA(Teaching Assistant)の紹介でバイトからWEB業界でのキャリアをスタートしました。

WEBデザイナーとはどんな職業か

まず、WEBデザイナーとはどんな仕事をする人なのかですが、私たちの会社では「WEBサイトのデザインを通じてクライアント企業のビジネスゴール達成を支援する」役割を果たす職種と定義をしています。

「WEBサイトのデザインを通じてクライアント企業のビジネスゴールの達成を支援する」というのは抽象度が高い表現ですが、分解をして具体的にしていくと、考えるべきこと、やるべきこと、知っているべきことがとてもたくさんある職種だったりもします。

私たちの会社で必要となる主だったものをざっと書いてみます。

  • ビジネス要件の理解
  • 情報設計
  • UI / UXデザイン
  • ビジュアルデザイン
  • タイポグラフィ
  • 写真の選定や加工
  • HTMLやCSS、JavaScriptの技術と知識
  • CMSに関する知識
  • インターネットに関する知識
  • WEBマーケティングに関する知識
  • SEOや広告に関する知識

他にもあると思いますし、粒度としてはまだ抽象度が高いけれど、WEBサイトのデザインをする上で考えるべきこと、やるべきこと、知っているべきこと、という観点ではざっくりこんな感じかなと思います。

今できることやポテンシャルとしてアピールできることを棚卸しておく

最初からこれらを全部押さえておくべきということではなく、実際に働き始めるとこういう知識や技術が必要になるから、すでにそういう素養があるのであればアピールした方がいいよということです。

例えば、仕事としてWordPressでサイトをつくったことがなくても、自分のサイトはWordPressでつくりましたという人は、触ったことがないという人よりも一歩リードできるかもしれないし、写真を撮る人は自分なりの写真選びの考え方なども語れれば、それもアピールポイントになるかもしれません。

実務経験がなくても知らないよりも知っている方がいいし、興味があるのが望ましいです。現時点では詳しいことはわからなくても、こういうことが仕事で必要になるんだということを知っているだけでも面談での話の展開も入社後のチームでのコミュニケーションも全然違います。

面談の時には、話を聞きながらそんなことを考えています。

これらの内容の何をどこまで習得すべきかというのはあるし、得手不得手もあるでしょう。どのようにスキルアップしていくのかは、面談の場できいてみても良いかもしれません。ゼネラリストからスペシャリストまでのスキルセットはグラデーションです。

自分がこれまでのキャリアの中で一緒に仕事をしてきた信頼できるWEBデザイナーは、上記の内容はだいたい押さえている人が多かったなと思います。人によってどこに深さがあるかはまちまちですが、みんな好奇心が強く、興味の幅が広いというのは共通している気がします。

未経験でWEBデザイナーになりたい人に必要なのはポテンシャルを感じさせること

私たちの会社では、これからWEBデザイナーになりたいという人に最初から前述のスキルセットを求めていません。

でも、そういうことに興味を持ってる人かな、これから興味を持てる人かなというのは見ています。

私の場合は、最初はみんな未経験だし、経験なんてしていけば良いだけと考えているので、未経験の人も採用の対象とする場合には採用後のポテンシャルがどれくらいあるかどうかを探ります。ほとんどのことは業務を通じて学び、覚えていくことになるので素養があるかどうかは重要なチェックポイントです。

クライアント企業のビジネスに興味をもてない人、理解できない人は、課題を解決するデザインができるかどうかというと難しそうです。また、そもそもインターネットのことをよく知らないとかは論外だし、CMSの実装を考慮したデザインをつくれないとなるとチームでの仕事に携わるのは難しいと思います。

そのあたりをイメージしながら質問をしたり、話を聞いたりすることが多いです。

アピール内容は採用する企業の視点で考えておく

WEBデザイナーになりたい理由がものづくりの原体験であることは少なくありません。昔からつくるのが好きだった、学生時代の活動を通じてつくることの楽しさを知った、仕事の中で触れて自分でもやってみたいと思った、などです。私も入り口は同じです。

SNSを眺めていると「自分がいかにデザインが好きかをアピールすれば良い」「デザインへの情熱を訴えるべき」みたいなアドバイスを見かけることがあります。同僚の視点ではそうこともあるかもしれませんが、個人的には採用側の選考ポイントはそこじゃないと思っています。

好きこそものの…ということわざにもある通り、好きであることは大きなモチベーションになるかもしれませんが、採用する側にとっては十分条件ではないと思います。

まずは、採用する側が何を求めているのかを考えてみると良いと思います。なぜ、企業がWEBデザイナーを採用するのか、その理由を逆算して考えてみると求めているものが想像できるはずです。あとは、企業が求めるものに応じて何をどうアピールするかの戦略をたてればいいんじゃないかなと思います。

実務経験がないので、どうしたらポテンシャルを感じてもらえるのかを考えてみることをおすすめします。

参考:未経験からWEBデザイナーを目指す人必見:WEB制作の現場で求められる考え方・視点

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入社後の姿をお互いにイメージできるように

採用活動において私が重要視しているのは、この人が入社してくれたら会社にどんないいことがあるのかなというイメージができることです。具体的には、顧客満足度が上がりそうとか、コンペで勝てそうとか、今までとは違ったデザインもつくれるようになりそうとか、みたいな感じです。

場合によっては、とにかく人手が欲しいということもあるかもしれません。このあたりは、募集のタイミングでその制作会社がどういう課題をもって採用しようとしているかにもよります。

たまに、求める人物像を聞かれることがありますが、私には意味のある質問だとは思えません。面談の場で相手が求める人物像になりきるのは無理があるし、自分とのギャップが明らかになった時には動揺してしまいそうです。

面談ではそんなことを聞くのではなく、企業研究をして相手が何を求めていそうかの仮説をたてておくと良いと思います。実績を見たりブログを読んだりしながら、この会社はどういう考えで、どういう仕事の仕方をしているのかなと調べたり、自分だったらこんなふうに貢献できそうということを洗い出して具体的にすると良いのではないかなと思います。

そのように準備をしておけば、会社の補強ポイントと合致する確率は上がる可能性があります。

正直なところ、面談をしてみると、経験、未経験に関わらず企業研究が足りない人は多いです。面談の前に会社概要や実績ページをさらっと見ただけみたいな人は、難しいと思います。

ポートフォリオについて

WEBデザイナーの応募の際には、ポートフォリオを見せて頂いています。WEBデザイナーの方でポートフォリオやアピールのための資料がない方は残念ながら次に進めません。実務経験がないとしても、デザイナーとして自分がどのようなアウトプットをするのかはアピールすべきだと考えているからです。

デザインに限った話ではありませんが、履歴書や職務経歴書から判断できることは少ないので、プラスアルファの情報があるかないかは判断に大きく影響します。

ちゃんと用意をした方が良いです。

ポートフォリオで何をアピールしたいのか

ポートフォリオを見せてもらう時には、デザインの美しさだけで判断をすることはありません。どういう考えでそのデザインに至ったのかなどについて伺います。

このページの最初の方で定義をしたように、私たちはWEBデザイナーは「WEBサイトのデザインを通じてクライアント企業のビジネスゴール達成を支援する」仕事だと考えているので、たとえデザインが多少荒削りであっても課題解決の視点を持っている人の話を聞きたいと思っています。

架空の企業サイトだとなかなか難しいとは思いますが、ターゲット、サイトの目的とゴールを決めて、どのように考えてデザインをしたのか、デザインのアウトプットだけではなく思考プロセスもアピールすると良いと思います。

相手に合わせてしっかり準備をする

ポートフォリオを用意するなら、自分のこれまでの制作物を見てください!という発想ではなく、相手の欲しいものに合わせて構成を決めてつくると良いと思います。

例えば、私たちのクライアントの多くはBtoB企業です。架空のカフェや美容室などのBtoC寄りの作例を見せて頂いてもピンとこないというのが正直な感想です。デザインの良し悪し以上に、私たちの会社のことを理解してアプローチしてもらえてないなという印象が強くなります。

私たちが初めてのクライアントに会社案内をする時には、その会社向けに事例のページをカスタマイズしてご案内します。基本的な会社案内は変わりませんが、事例紹介では、BtoBやBtoC、業界、機能、デザイントーンなどでページをソートして、できるだけイメージしてもらえるように再構成します。

同じように、応募先の会社がBtoB中心の会社であればコーポレートサイト系のデザイン、BtoC中心の会社であれば生活者向けのデザインなどを作例として用意しておいて、どっちをメインで見せるのかを決めれば良いと思います。

採用する企業の視点で見た時に、興味をもってもらえて、評価してもらえそうなポートフォリオを準備しておくということですね。

採用しないと損するよと思ってもらえるように

正直、そこまでやるの?という人もいるでしょう。

これを書いている自分も逆の立場だったら大変だなと思います。でも、そこにはWEBサイトをつくるという仕事のエッセンスが詰まっていると感じています。

本気でWEBデザイナーになりたい人はやればいいし、そこまでは…という人はやらなくてもいいと思います。

みなさん、なぜ自分がWEBデザインを仕事にしたいのかは話してくれるのですが、その上で自分を仲間加えたらこんなふうに活躍できるよ!採用しないと後悔するよという話をあまりしてくれないなぁと思っています。

少なくとも私はそこが一番知りたい。

採用される人と採用に至らない人の差はそこじゃないかなと私は思っています。

HTMLコーディングのポートフォリオについて

HTMLコーディングのポートフォリオは私たちも判断が難しいです。

WEBデザイナー養成スクールで学んだ人はスクールの課題を見せてくれるのですが、正直なところ判断ができません。同じスクールに通っていると、みんな同じ課題のアウトプットなので違いがわからないのです。

自分でつくったデザインをもとにHTMLを組んだものがあれば、社内の制作メンバーにソースコードを見てもらって判断をします。

また、コーディングについては、HTMLやCSSを理解していて自分の力で書けることが望ましいので、そのあたりはしっかりとヒアリングをするようにしています。会社では複数のメンバーで共同作業をすることが多いので、他の人のコードをもとに量産したり修正したりすることもあるので、基本的な知識や技術がないと入社後にお互いが困ることになります。

基礎的な技術と知識があって、HTMLやCSSを自分の力で書けることや、チームでの作業についての考え方などもアピールできれば、採用する側もグッと興味を持つんじゃないかなと思います。

まとめ

長々と書いてきましたが、未経験だとしても、それを補い上回るポテンシャルをアピールすれば可能性は開けるんじゃないかなと私は考えています。

未経験でもWEBデザイナーになる人はたくさんいます。

採用する側の視点で何をアピールすべきかを考えて、しっかり準備をすることが重要だと思っています。

この記事を読んでくれた方の就職活動、転職活動の役に立てば嬉しく思います。

XでもWEB業界や仕事のことについてつぶやいています。よかったらフォローしてみてください。

@bridgeinc84

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。WEBサイトの制作・構築から集客・販促などの活用コンサルティングまで中小企業のWEBサイトの活用をサポートしている。