記憶色と記録色という言葉を耳にしたことはありますか?
記憶色とは、読んで字のごとく、人がイメージとして記憶している色であり、記録色とはカメラのセンサーが実際に記録をした色を意味します。
CANON IMAGE GATEWAYでは記録色を次のように説明しています。
記憶色(印象色)とは、人がイメージとして記憶した色のことで、実際の正確な色とは違う場合もあります。人間は脳に記憶した色は実際より色鮮やかに記憶する傾向があり、このイメージを再現するために、写真を記憶色に調整します。
デジタルカメラの色設定を「標準」のものから記憶色に近い設定に変更しておけば、花や風景などを最初から実際より色を誇張した状態で撮ることも可能です。
CANON IMAGE GATEWAY
身近な例を挙げると、ソメイヨシノなどの桜は実際には白に近い色ですが、僕たちのイメージする桜はピンクだったりします。
デジカメのセンサーが記録した色と、僕たちがイメージしている色にはギャップがあるということですね。
SNSで見かける色鮮やかな写真は記憶色として表現されていることが多く、VSCOのようなアプリを使って加工をしてからインスタにあげる人も多いと思います。
最近Youtubeなどで流行っているcinematic movieでは、映画でよく使われる青緑とオレンジによる「Teal & Orange」という印象的な配色を用いることが多いようです。
誰にどんな印象を与えたいか
記憶色と記録色のどちらが正しいというのはなくて、誰に対してどんな印象を与えたいかによって色味は変わります。
記録色はあくまでもセンサーが記録した色であって、カメラメーカーや機種によってセンサーが変われば色味も変わるので、正しい色という意味ではありません。
おしゃれな雰囲気の写真はハイキーでややグリーンに寄せたり、ドキュメンタリー系の写真は重厚な色合いで表現したり、どう表現したいかで色味は決まります。
例えば、これはデジカメで撮ったままの、いわゆる「撮って出し」の写真です。
これだけでも雰囲気がある写真だとは思うのですが、帰宅してPCに取り込んでみると、海辺で感じた感傷的な気持ちがイマイチ映り込んでいないように感じたので、現像の際に色味を調整しました。
こんな具合です。
何年か前の写真ではありますが、僕が打ち合わせの帰りに一人で見に行った海辺はこんなイメージだったんですよね。これは撮影した数年前に現像した写真ですが、僕の持っている世界観や好きな色味はこんな感じなので、今、改めてこの写真を現像するとしてもだいたい同じような色味になるんじゃないかなと思います。
同じような感覚を持つ人が見ると、共感してくれる可能性が高いし、違った感覚を持つ人が見ると何も感じないかもしれません。
この前、エモいコンテンツの作り方で原体験の話をしましたが、色に対する感覚もエモさと結びつく要素です。
この作例は個人の作品なので、個人の感覚に任せて色味を決めれば良いのですが、ビジネスの中で色を決めるには、クライアントの感覚でもクリエーターの感覚でもなく、ターゲットやトレンドに合わせて考える必要があります。
記憶色をうまく使いこなすことで、サイトを印象付けることができるようになります。
投稿者プロフィール
- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。
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