データを眺めても、答えは出ない。そこに物語を見つけたとき、売れる。

この商品は、いい。ほんとうに、いい。なのに、売れない。
いや、売れなくはない。でも、もっと売れるはずだ。

お客さんはいる。他社の商品とも違いがある。
それなのに、なぜか伸び悩む。

このもやもやを解決するには、お客さんのことを、ちゃんと知ること。
そして、そのお客さんに合わせた、ちょうどいい伝え方を見つけること。

今回は、お客さんを理解するためのデータ分析と仮説の話。

まず、頭の隅に置いておきたいこと

お客さんを分析する前に、大事なことが3つある。

1. お客さんは、「人」だ。

「顧客」という言葉でまとめると、ひとつのかたまりみたいに見えてくる。
でも、当たり前だけど、その中には、それぞれの人生を持った「人」がいる。

同じものを買っていても、理由は人それぞれ。
だから、ちゃんと見て、ちゃんと考えたほうがいい。
「なぜ、これを買うのか?」「なぜ、買わないのか?」
それを知ろうとすると、思いがけない発見がある。

2. お客さんは、自分の欲しいものを知らない。

「どんな商品があったら便利ですか?」
そう聞かれて、すぐに正確に答えられる人は少ない。

なぜなら、「自分が本当に必要としているもの」を、
意識しながら生活している人はほとんどいないから。
マクドナルドが「お客さんの声」に応えてサラダを出したけれど、
売れなかった、という有名な話がある。

お客さんの言葉を聞くことは大事。
でも、そのまま受け取るのではなく、
「その奥にあるもの」を考えることが、もっと大事。

3. データ分析の答えは、あくまで「仮説」だ。

データ分析は、「事実」をもとに考えるから、信頼できる。
でも、その答えが「絶対」かというと、そんなことはない。
データが示すのは過去のこと。未来のことはわからない。
だから、これから考えることは、あくまで仮説。
やってみて、確かめて、修正して、またやってみる。

そうやって、じわじわと、正解に近づいていくもの。
そして、ここに「エモロジメソッド」を加えると、
さらに強い仮説が生まれる。

データの裏にある感情を読む。数字の変化だけでなく、
「なぜ、その数字が動いたのか?」
「どんな感情がそこにあったのか?」を探ることで、
データだけでは見えない「本当の理由」が見えてくる。

そもそも、なんのために分析するのか?

さあ、分析しよう、といきたいところだけど、ちょっと待って。

「なんのために、お客さんを理解したいのか?」

このゴールが曖昧だと、せっかくの分析が、
どこへ向かっていいかわからなくなる。

今のターゲットに、もっと響く伝え方を見つけたい?
今とは違うターゲットを開拓したい?

目的をはっきりさせることで、やるべきことが見えてくる。

データを集める

さあ、データを集めよう。

今は、情報があふれている時代。
集めようと思えば、いくらでもデータは手に入る。

  • サイトのアクセス解析
  • 商品レビュー
  • SNSのコメント
  • 競合他社の動き
  • 関連するニュースや検索キーワード

直接的なデータじゃなくても、
ヒントになりそうなものは、どんどん集める。

でも、データだけでは足りない。
データをロジカルに整理しながら、
そこに潜む本質的な課題や可能性を見出す。

  • レビューの言葉の熱量
  • SNSのコメントのニュアンス
  • 商品を使ったときのリアクション

数値に出てこない部分を、どう読み解くか。
ここにこそ、お客さんの本音が隠れている。

まだ見えていない可能性を探す

「うちの商品は、こういう人向け」
そう思い込んでいると、見えないことがある。

でも、今のお客さんをじっくり分析すると、
「あれ?こういう人にも響くんじゃない?」という発見がある。

たとえば、
「BtoCの商品だと思っていたけど、実はBtoBの需要があるかもしれない」
「この商品の本当の価値は、今まで思っていたものとは違うところにあるのでは?」

そんなふうに、「思い込みの外」を見つけることが、分析の大きな醍醐味。

水平思考を組み合わせれば、論理的な分析の枠を超え、
データの奥にあるストーリーを発見できる。
心を動かすことで実際のアクションにつなげることができる。

最後に

データを分析していくと、思わぬ発見がある。

「こんな使い方をする人がいるんだ!」
「こっちの層にもニーズがあったのか!」

その驚きが、商品やサービスを進化させる。

大切なのは、「今までのやり方」にとらわれずに、広い視野で考えること。

お客さんの中に、未来のヒントは、もうある。
それを、ちゃんと見つけられるかどうか。

さて。次は、何が見えてくるだろう?

プロデューサー日誌

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ブリッジ代表の橋本の日々の気づきや考えに関するコラム。

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投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。