
今回は、BtoBビジネスにおけるWebサイトの「役割」と「使い方」を整理したいと思います。
「Webサイトは名刺代わり」では、もったいない
多くの中小企業がWebサイトを持っています。でも、その役割をきちんと考え抜いて活用しているケースは、意外と少ないかもしれません。
「一応あるけど、更新は数年前から止まっている」
「会社概要とサービス概要だけ。営業にはあまり使っていない」
BtoBビジネスにおいて、Webサイトは単なる「情報の置き場」ではなく、会社の価値を伝え、見込み顧客との信頼関係を築く重要な「営業資産」です。
では、その役割とはなんでしょうか。
BtoB企業におけるWebサイトの主な役割
1. 会社としての「信頼感」を伝える
BtoBの取引では「この会社は安心して任せられるか?」という印象が意思決定に大きく影響します。沿革、実績、導入事例、社内の様子など、目に見える形で「信頼の理由」を示すことが重要です。
企業のサイトでよく閲覧されるページは、トップページと会社案内ページです。もちろん、サービスページも見られますが、サービス詳細は問い合わせ後に聞けばいいと考えることとがほとんどです。
なので、そもそも取引の対象となるかどうかの最初の判断、どんな会社なのか、信用できる会社なのかの確認のために、トップページや会社案内のページは閲覧されます。
2. 必要とされるサービス情報を伝える
あなたの会社が何を提供していて、それがどんな課題を解決できるのか。
技術や製品のスペックだけでなく、「誰に」「どんな場面で」有効なのかまで伝えることで、相手の中で具体的な検討が進みます。
相手がどんな情報を必要としているか、顧客の視点での情報提供を行います。
3. 顧客にとって有用な情報を届ける
「まだ検討段階」「情報収集の途中」というユーザーに対しては、いきなり売り込むよりも役立つ情報の提供が有効です。
ホワイトペーパーや事例資料、業界動向などのコンテンツがここに当たります。
今の時代、比較されることは当たり前です。有用な情報の提供は、比較の対象になること、問い合わせの対象になるための重要なステップです。
顧客の行動(カスタマージャーニー)から考える
見込み顧客は、いきなり問い合わせをするわけではありません。
「課題を感じる → 情報を探す → 比較検討する → 問い合わせる」
といった流れ(=カスタマージャーニー)があります。
この流れをもとに、
- どんなタイミングで
- どんな情報を提供し
- どんな導線を設計するか
を考えることで、Webサイトに「営業ツール」としての役割を担わせることができます。
まずは、自社のリアルな受注フローを整理して、どのようにWebに反映させていくのかを考えてみると良いと思います。
Webサイトだけでは足りない理由
ただし、Webサイトだけですべてを完結させるのは難しい時代です。
例えば、
- より深い情報を届けたいなら → 資料ダウンロード用のLP(ランディングページ)
- 見込み顧客との接点をつくりたいなら → 広告やSNSの活用
- 双方向での理解を深めたいなら → ウェビナーや商談機会の設計
といったように、目的に応じて“周辺施策”も必要になります。
「今、自社に必要なのは何か?」を見極める
大事なのは「全部やること」ではなく、自社の状況や目標に合わせて「今、何に注力すべきか」を見極めることです。
例えば、
- Webサイトの情報が古くて信用されにくいなら、まずはリニューアル
- サイトはあるけど集客ができていないなら、広告やLPの設計
- 問い合わせはあるけど成約率が低いなら、資料や事例コンテンツの強化
というように、全体を俯瞰して必要な打ち手を選ぶことが成果への近道です。
Webを「営業チームの一員」にするために
Webサイトは、もはや裏方ではありません。
リアル営業と同じように、「信頼を築き」「情報を伝え」「行動を促す」大事な“接点”のひとつです。
だからこそ、単に作る・持つのではなく、戦略の中で役割を明確にし、他の施策と連携させて活用していくことが欠かせません。
投稿者プロフィール


- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。
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