
「検索しても、クリックされない」その変化の正体はAIオーバービュー
最近、Google検索しても、なんとなく答えだけ見て終わることが増えた気がする…
そんな風に感じたことはありませんか?
実はそれ、Googleが導入したAIオーバービュー(Search Generative Experience)によるものかもしれません。
検索結果の上部に、生成AIが要約した情報が表示されるこの新しい仕組みは、SEOに大きな影響を与えています。
特に「○○とは」「○○のやり方」などの情報収集系キーワードでは、ユーザーがAIの要約だけで満足してしまい、オーガニック検索結果へのクリックが大きく減少しているのです。
私たちのサイトのコンテンツでもクリック状況の変化を確認しています。アクセスが減るコンテンツもあれば、トップ3に入っているコンテンツは、AIオーバービューの恩恵を受けてアクセスが増えていると思われます。
AIオーバービューとは、Googleが導入を進めている検索機能のひとつで、ユーザーの検索意図に対して、複数のWebサイトの情報をもとに生成AIが要約した回答を、検索結果の最上部に表示する仕組みです。
現在は一部のユーザー向けに提供されていますが、今後の本格展開によって、従来のSEOや検索行動に大きな影響を与えるとされています。
SEOの前提が変わる。AIオーバービューがもたらす3つの変化
1. クリック率(CTR)の低下
AIオーバービューが最上部に表示されることで、従来のSEO対策で上位表示していてもアクセスが伸びないという現象が起きています。これは、ゼロクリック検索と呼ばれ、AIオーバービューがユーザーの質問に直接答えるため、ウェブサイトへの訪問が減少する可能性があるとされています。
2. スニペットやナレッジパネルの役割縮小
これまで注力してきたリッチスニペット対策が、AIの要約に吸収され、ユーザーに見られないリスクが高まっています。
3. 差別化が難しい「正解主義」の情報
AIは複数のソースから“正確そうな情報”をまとめて提示するため、似たようなコンテンツは埋もれやすくなっています。
これからのSEOで必要なのは、「情報」より「記憶に残る価値」
ここで重要な問いがあります。
「AIが要約できないコンテンツ」とは何か?
答えは、人の感情を動かすコンテンツだと私たちは考えています。
たとえば、以下のようなものはAIでは再現が難しい領域です。
- 初めてWebリニューアルを任された担当者の不安や決意
- 実際の失敗と試行錯誤を交えたリアルな体験談
- 担当者の価値観や葛藤がにじむストーリー
こうしたエモーショナルな要素は、情報ではなく人の心に届きます。
そして、それこそが、AIオーバービューでは代替されないSEOの武器になるのです。
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AIオーバービュー時代のSEO対策:構造化×感情のハイブリッド戦略
では、実際にどうすれば「AIに代替されない」コンテンツをつくれるのでしょうか?
構造化と信頼性を意識した設計
- 見出し(h2/h3)の明確な整理
- FAQ形式や箇条書きを適切に使用
- 出典や実体験に基づいた情報の提示
エモロジメソッドによる「感情設計」
- 読者の悩みに共感するストーリーから始める
- 体験談・失敗談・迷った過程を具体的に描く
- 最後に「行動を促す一言」で背中を押す
この2つを掛け合わせることで、AIオーバービューに引用される可能性を高めつつ、記憶に残るSEOコンテンツが実現できます。
私たちはこの考え方を「エモロジメソッド」として体系化しており、論理的な情報設計と感情を動かすストーリーづくりを両立させる取り組みを続けています。
「誰が書いたか」が、読まれる理由になる
AIが書いた文章に“温度”はありません。
だからこそ、人の体温が感じられる文章が際立ちます。
もしあなたのWebサイトに、
「この人の言葉だから読みたい」
「この会社の視点が信頼できる」
そんなふうに思われるコンテンツがあるなら、それはAIオーバービューがあっても選ばれるサイトになるはずです。
SEOのゴールは、上位表示ではありません。
本当のゴールは、「記憶に残ること」。
情報を届けるだけではなく、人の心に届く。
その視点が、これからのSEOには不可欠です。
AIオーバービュー時代のSEOは「感情が動く設計」が勝つ
SEOのルールが変わろうとしています。
AIオーバービューの登場は脅威でもありますが、同時に“人にしかできない表現”が際立つ時代の到来でもあります。
だからこそ、今必要なのは、
- AIが扱えないリアルな体験
- 心を動かすストーリー
- 読者が「また会いたい」と思う文章
こうした、人間だからこそ生み出せるコンテンツです。
AIに代替されない、価値あるSEOを目指すなら、これからは「情報」だけでなく「感情」まで設計することが鍵になります。
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投稿者プロフィール


- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。
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