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「こんなサービスがあるなんて知らなかった」

商品やサービスを探しているとき、あとからそう感じた経験はないでしょうか。

たとえば、冬になると部屋が寒くて困っている人がいたとします。その人が最初から「断熱リフォーム」という言葉を知っていれば、そのまま検索できます。

しかし実際には、「窓際が寒い」「暖房をつけても部屋が暖まらない」「冬の光熱費を抑えたい」といった、自分が困っていることから調べ始める人もいるでしょう。

調べていく中で初めて、「窓の断熱」「内窓」「断熱リフォーム」といった解決方法を知ることもあります。

企業側は商品やサービスの名前を知っていますが、それを必要としている人が同じ言葉を知っているとは限りません。

さらに最近は、検索窓に短いキーワードを入れるだけでなく、AIに自分の状況をそのまま相談するような探し方も広がっています。

これからWebで見つけてもらうには、商品名やサービス名だけでなく、その商品を必要とする人が「何に困り、どんな言葉で探しているのか」まで考えることが、これまで以上に重要になっています。

ユーザーは、商品やサービスの名前を知らないことがある

企業にとって、自社の商品名やサービス名は日常的に使う言葉です。そのためホームページを作るときも、「このサービスについてどう説明するか」「この商品名で検索されたときにどう表示するか」という考え方になりがちです。

しかし、ユーザー側から見ると状況は異なります。

たとえば美容院が「髪質改善トリートメント」というメニューを提供していても、すべての人が最初からその名称を知っているわけではありません。

「髪が広がりやすい」
「雨の日になるとまとまらない」
「カラーを繰り返して傷みが気になる」

といった悩みから解決方法を探し、その途中で「髪質改善」という選択肢を知る人もいます。

企業側は「このサービスをどう紹介するか」を考えますが、ユーザーが最初に考えているのは「この困りごとをどう解決するか」です。

この違いを意識しないまま商品名やサービス名だけを中心に情報を作っていると、すでに自社の商品を知っている人とは接点を持てても、まだ存在を知らない人には届きにくくなります。

AI検索によって、検索の仕方はより具体的になっている

ユーザーの悩みからコンテンツを考えること自体は、従来のSEOでも重要でした。

検索されるキーワードを調べ、その背景にある検索意図を考えることは、以前から行われています。

ただ、AIによる検索が広がったことで、ユーザーは自分の状況をより詳しく伝えながら情報を探せるようになってきました。

これまでは、「断熱 リフォーム 費用」のように、いくつかの単語を組み合わせて検索していた人が、「築20年の戸建てで、冬になるとリビングが寒い。全面リフォームはせずに寒さを改善する方法はある?」と、そのまま質問できます。

業務用のシステムを探す場合でも、「勤怠管理 システム」だけではなく、「社員50人くらいで、今はExcelで勤怠を管理している。残業時間の集計をもっと楽にしたい」といった探し方ができます。

Googleも、AIを利用した検索では、従来より長く複雑な質問が行われる傾向があると説明しています。

つまり、検索する人が「正しい商品名を知っている必要」が少しずつ小さくなっています。

その代わり、企業側には、さまざまな悩みや状況から自社の商品へたどり着ける情報を用意しておくことが求められます。

商品ページだけでは、出会えないユーザーがいる

もちろん、商品ページやサービスページは必要です。何ができるのか、どんな特徴があるのか、いくらかかるのかなど、比較検討する段階では重要な情報になります。

ただ、その商品が必要だとまだ気づいていない人にとっては、商品ページだけでは接点を持ちにくい場合があります。

たとえば、家事代行サービスを提供している会社があるとします。

サービスページに料金や利用時間、対応エリアを詳しく掲載していても、「仕事から帰ると家事をする時間がない」「親の家の掃除まで手が回らない」「出産後だけ一時的に家事を手伝ってほしい」と悩んでいる人が、最初から「家事代行」と検索するとは限りません。

そうした人に向けて、「共働きで家事が回らないときの負担を減らす方法」「離れて暮らす親の家事をサポートする方法」といった情報があれば、商品名を知らない段階でも接点を作れます。

大切なのは、「商品について何を書くか」だけではなく、商品が必要になる前にユーザーが何を考えているのかまで想像することです。

「課題」「状況」「条件」からコンテンツを考える

では、商品名以外にどんな情報を用意すればよいのでしょうか。

そのヒントになるのが、実際のお客様が相談するまでの過程です。

商談や問い合わせの際に、

「何に困っていましたか」
「なぜ今、この商品を検討したのですか」
「それまでにどんな方法を試しましたか」
「選ぶときに何を重視していますか」

と聞いてみると、検索される言葉のヒントが見つかることがあります。

住宅会社なら、「断熱リフォーム」という商品名だけで考えるのではなく、「窓際が寒い」「結露がひどい」「冷暖房費を抑えたい」といった悩みがあります。

勤怠管理システムなら、「Excel管理が大変」「月末の集計に時間がかかる」「社員の残業時間を把握できない」といった状況があります。

さらに、

「できるだけ工事期間を短くしたい」
「社員がスマートフォンから使えるものがいい」

といった条件から探す人もいるでしょう。

商品名を起点にするだけでは見えにくい、こうした課題・状況・条件までWeb上に情報として持つことで、見つけてもらえる入口を増やすことができます。

AI検索を意識するなら、曖昧な表現より具体的な情報を

AIを使った検索では、ユーザーが入力した質問に対して、Web上にある情報をもとに回答が作られることがあります。

そのため、自社の商品やサービスについて、必要な情報がホームページ上にきちんと用意されていることが重要になります。

ただし、これは一つのページに長い文章をたくさん掲載すればよい、という意味ではありません。

たとえばサービスについて、対象となる企業、対応できる内容、料金、利用条件、導入事例などをすべて文章で説明すると、かえって必要な情報を探しにくくなってしまいます。

大切なのは、ユーザーが知りたい情報が整理され、それぞれ確認できる状態になっていることです。

対象や対応範囲はサービスページ、実際の活用方法は事例、よくある疑問はFAQ、課題や選び方についてはコラムというように、情報の役割に合わせて整理する方法もあります。

こうしてサイト全体に必要な情報が揃っていれば、ユーザーは自分に必要な情報を見つけやすくなります。また、検索エンジンやAIにとっても、その会社が「誰に、どのような商品やサービスを提供しているのか」を理解するための材料が増えます。

AI検索への対応というと、文章の書き方を変えることに目が向きがちですが、まず見直したいのは、ユーザーが判断するために必要な情報がサイト内に揃い、分かりやすく整理されているかという点です。

見つけてもらったあとに、選ぶための情報も必要

課題や悩みに関するコンテンツを増やせば、それだけでWebサイトから成果が出るわけではありません。

検索やAIをきっかけに自社を知ってもらったあと、ユーザーは「この会社に相談できるのか」「自分に合う商品やサービスなのか」「他社と比べてどんな特徴があるのか」といったことを確認しながら、次の行動を考えます。

そのために必要なのは、情報をむやみに増やすことではなく、検討に必要な情報がサイト内に揃い、分かりやすく整理されていることです。

たとえば、サービスの内容や対応範囲はサービスページ、実際の利用イメージや成果は事例、よくある疑問はFAQ、会社としての考え方や体制は会社情報というように、それぞれの役割に合わせて情報を配置します。

「冬の部屋が寒い原因」を解説した記事を読んだ人であれば、その先で具体的な断熱方法を確認し、施工事例や費用の目安、自宅の場合にどの方法が合いそうかを判断できれば、検討を一歩進めやすくなります。

つまり、Webサイトには、見つけてもらうための情報と、選んでもらうための情報の両方が必要です。

さらに重要なのは、それらが別々に存在するのではなく、ユーザーが知りたい順番にたどれるようにつながっていることです。

AI検索が広がっても、最終的に「この会社に相談してみよう」と判断するのはユーザー自身です。だからこそ、検索で見つかることだけを目的にするのではなく、その後の比較や検討まで見据えて、サイト全体の情報を整理しておくことが大切です。

商品名ではなく「その前にある悩み」まで考える

自社の商品やサービスをWebで見つけてもらおうとすると、つい「商品名で上位表示するにはどうすればいいか」と考えてしまいます。

もちろん、商品名やサービス名で検索されたときにきちんと情報が出てくることは重要です。

ただ、その名前を知らない人は、それよりも前の段階にいます。

「困っていること」
「置かれている状況」
「こうなりたいという希望」

から情報を探し、その過程で解決方法や商品を知っていきます。

AI検索が広がることで、ユーザーはこうした状況を以前より詳しく検索やAIに伝えられるようになりました。

だからこそ企業側も、「自社の商品を何というキーワードで検索してもらうか」だけではなく、**「この商品を必要とする人は、その前にどんなことで困っているのか」**まで遡って考えることが大切です。

顧客の疑問や課題に答える情報を積み重ね、その先に商品やサービスを検討するための情報を用意する。

検索の仕方が変わっても、その考え方はWebで見つけてもらうための重要な土台になります。

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投稿者プロフィール

kinoshita
kinoshita
Webデザイナー。中小企業のコーポレートサイトを中心に、見た目だけでなく、情報の伝わり方や使いやすさを踏まえたデザインを担当。