中小企業のWebマーケティング

中小企業のWebマーケティング、自社の「現在地」を知っていますか?

中小企業庁の『中小企業白書』によれば、多くの中小企業がWebマーケティングやデジタル化を進めているものの、その取り組みは大きく4つの段階に分類されています。

あなたの会社は、今どの段階にいるでしょうか?

  1. 段階1:紙や口頭での業務が中心で、デジタル化がほとんど進んでいない。
  2. 段階2:デジタルツールを使い始めているが、活用は限定的。
  3. 段階3:デジタル化を活用して業務効率化やデータ分析を行っている。
  4. 段階4:デジタル化によってビジネスモデル自体を変革し、競争力を高めている。

感染症流行前(2019年時点)では、6割以上の企業が段階1~2にとどまっていましたが、2021年時点では段階3~4の割合が増加しています。しかし、段階4に到達している企業は約1割に過ぎず、依然として多くの企業が初期段階にとどまっているのが現状です。

多くの企業は「段階2」か「段階3」に位置しています。「Webサイトを作ったが成果が見えない」「次に何をすべきかわからない」そんな課題を感じている方も多いでしょう。

なぜ、中小企業はWebマーケティングでつまずくのか

中小企業は大企業と異なり、限られた予算や人材の中でマーケティング活動を行っています。そのため、投資効果が見えないと、積極的に取り組むのが難しくなります。

また、中小企業が抱える大きな課題の一つに「認知不足」があります。認知が足りない段階では、広告やSNS、SEOなどの施策を通じて知ってもらうことが何よりも優先されます。サイトへのアクセスがなければ、情報設計も導線もコンテンツもデザインも、何も機能しないからです。

また、単に商品やサービスを認知させるだけではなく、「どのように認知されたいか」を明確にすることが重要ですが、この点を意識している企業はまだまだ少ないのが実情です。

多くの中小企業では、SEO対策、Web広告、アクセス解析など、ロジカル(論理的)な施策を中心にWebサイトを作っています。しかし、実際のWebサイトを見ると、多くが「論理的には正しい」ものの、「ユーザーの心を動かすこと」ができていないという実情があります。その結果、訪問者が実際に行動を起こすところまで至らず、成果につながらないことが多いのです。

なぜ、エモーショナルな視点での提案が難しいのか

多くの企業がエモーショナルな視点を取り入れられない理由は、Webマーケティングの成果を数値的に評価することに偏りすぎているためです。アクセス数やコンバージョン率といった定量的な成果は明確に評価しやすい一方、感情的な要素は評価が難しいと感じてしまうのです。

また、「顧客の感情を動かす」ことの重要性を認識していない場合もあります。自社の商品やサービスを論理的に説明できていればそれで十分だと考えてしまいがちです。

なぜ、「ロジカル」と「エモーショナル」の両輪が必要なのか

Webマーケティングで成果を出すには、ロジカルな施策だけでなく、顧客の「心を動かす」エモーショナルな施策も重要です。

ロジカルな施策は、ターゲットを明確にし、効果測定を行い、戦略を改善していくために不可欠です。しかし、顧客が実際に行動を起こすためには、共感や信頼といった感情を動かす要素が必要です。

例えば、とあるメーカーは、自社の商品の特徴をWebサイトで論理的に説明しましたが、なかなか売り上げが伸びませんでした。そこで、顧客がどのような心理状態で商品を探し、どのような情報に心を動かされるのかを分析・仮説立てした上で、顧客が共感できるストーリーや感情的な要素を加えました。その結果、顧客の共感が生まれ、売り上げが改善しました。このように、顧客の心理状態を分析し、それに基づいて感情的な訴求を行うことが重要なのです。

中小企業のWebマーケティングを次のステップに進めるために必要な視点

中小企業が次の段階に進むには、まず自社の現在地を正しく把握し、その位置から課題を見つけ出すことが重要です。そして、「どのように認知されたいか」を明確にし、それをロジカルに整理しつつ、「心を動かす」エモーショナルなアプローチを取り入れることで、顧客に行動を促すことが可能になります。

Webマーケティングを「投資」として価値あるものに変えるためには、ロジカルとエモーショナル、両方の視点をバランスよく取り入れることが必要です。ぜひ、あなたの会社もこの両輪で次のステージへと踏み出しませんか。

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投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。