
ECサイトを立ち上げようとすると、ある疑問に直面します。
「コーポレートサイトに組み込んだ方がいいのか、それともECサイトは別で作った方がいいのか?」
たしかに、1つのサイトで完結すれば管理もラクですし、費用も抑えられるかもしれません。
でも私たちは、「ECサイトとコーポレートサイトは、分けるべき」と考えています。
そして、それはただの構造的な話ではありません。
成果に直結する、"戦略" の話なのです。
サイトには、それぞれ「果たすべき役割」がある
なぜ、ECサイトとコーポレートサイトを分けるべきなのか。そこには明確な理由があります。
コーポレートサイトには、企業としての“顔”としての役割があります。
何をしている会社なのか、どんな思いで事業をしているのか。
信頼を獲得し、会社を深く理解してもらうための場です。
問い合わせを増やしたい、採用につなげたい、そうした「関係性づくり」が主な目的です。
一方、ECサイトはまったく性質が異なります。
お客様が「今すぐ買いたい」という気持ちで訪れ、比較し、決断する場です。
欲しい情報は、価格やスペック、納期、使い方など。そこに感情的な引き金があれば、購入へと一気に動きます。
つまり、ユーザーの心理状態も、求めているものも、全く違うのです。
情報が「混ざる」ことで、チャンスが失われていく
ECサイトとコーポレートサイトを無理に1つにまとめてしまうと、こうした異なるニーズや導線が交錯します。
- 「どこに商品情報があるのか分かりにくい」
- 「会社案内を見たいのに、いきなり商品が出てくる」
- 「せっかく興味を持ったのに、知りたい情報が見つからない」
このように、本来届けるべき相手に、本来届けたかった情報が届かなくなる。
それはとても、もったいないことです。
私たちはこれまで、統合されたサイトで成果が伸び悩んでいた企業が、サイトを分けたことで
「商品が売れるようになった」
「採用へのエントリーが増えた」
「問い合わせが明らかに変わった」
そんな変化を何度も見てきました。
「情報が伝わる設計」ではなく、
「感情が動く設計」になってはじめて、人は行動します。
サイトを分けることは、ただの「分割」ではない。
それは、自社の想いと顧客の感情を、正しく結ぶための「配慮」です。
知りたい人には、じっくり知ってもらえる設計を。
買いたい人には、迷わずスムーズに買える導線を。
伝えるべき人に、伝えるべき形で届けること。
それが、本当に成果につながるサイトのあり方ではないでしょうか。
だからこそ、私たちはこう考えています。
ECサイトとコーポレートサイトは、分けるべき。
それは、単なる制作の話ではなく、「誰のためにサイトをつくるのか?」という問いに、まっすぐ向き合った答えなのです。
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投稿者プロフィール


- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。
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