
ホームページをリニューアルするなら、今より見やすく、分かりやすく、成果につながるサイトにしたいものです。しかし、実際にはリニューアルしたことで見た目は新しくなったものの、
- 必要な情報が伝わらなくなった
- 問い合わせにつながらない
- 制作途中で修正が増えた
- 以前より更新しにくくなった
- 想定以上に費用や時間がかかった
といった問題が起きることがあります。
こうした失敗は、デザインの良し悪しだけで起こるものではありません。リニューアルの目的や現在の課題が整理されていなかったり、制作会社との役割分担が曖昧だったりすることが、大きな原因になります。
今回は、ホームページリニューアルでよくある5つの失敗と、それを防ぐために確認したいポイントをご紹介します。
ホームページリニューアルにおける「失敗」とは
ホームページリニューアルの失敗というと、完成したデザインが気に入らなかった、イメージしていた雰囲気と違った、といった問題を思い浮かべるかもしれません。もちろん、企業やサービスの印象に合ったデザインであることは重要です。しかし、見た目だけでリニューアルの成功や失敗を判断することはできません。
リニューアルの目的は企業によって異なります。例えば、問い合わせを増やしたい企業もあれば、サービスの違いを分かりやすく伝えたい企業もあります。採用活動に活用したい、営業担当者が顧客への説明に使えるようにしたい、社内で情報を更新しやすくしたいという場合もあるでしょう。
そのため、ホームページリニューアルの成果は、最初に設定した目的を達成できているかどうかで考える必要があります。見た目が新しくなっていても、必要な情報が伝わらなかったり、ユーザーが次の行動を選びにくかったりすれば、リニューアルの目的を果たしているとはいえません。
反対に、大きく印象を変えなくても、情報が整理され、問い合わせや更新がしやすくなっているのであれば、意味のあるリニューアルだと考えられます。
ホームページリニューアルでよくある5つの失敗
1.リニューアルする目的が曖昧なまま始める
ホームページリニューアルで起こりやすい失敗の一つが、目的が曖昧なまま制作を始めてしまうことです。「デザインが古くなったから」「競合企業がリニューアルしたから」「前回の制作から年数が経っているから」といった理由が、リニューアルを考えるきっかけになることはあります。
しかし、それだけでは、どのようなホームページを作るべきかを判断できません。目的が曖昧なまま進めると、必要なページを決められなかったり、制作途中で社内から要望が次々と追加されたりする可能性があります。デザイン案が提出されても、何を基準に選べばよいか分からず、担当者や経営者の好みだけで判断してしまうこともあります。リニューアルを始める前には、「なぜ作り直すのか」だけでなく、「リニューアル後にどのような状態を実現したいのか」まで考えることが大切です。
例えば、「古い印象を変えたい」だけでは、具体的な方向性は定まりません。一方で、「初めて訪れた企業担当者がサービス内容と支援範囲を理解し、安心して相談できる状態にしたい」と整理できれば、必要な情報やページ構成を検討しやすくなります。
リニューアルの目的は、制作中に判断に迷ったときの基準にもなります。掲載する情報やデザインの方向性を決める前に、まずは何を改善したいのかを確認しておきましょう。
2.現在のホームページの問題を確認せずに作り直す
リニューアルでは、新しいホームページのことばかりを考えてしまいがちです。しかし、現在のホームページにどのような問題があるのかを確認せずに作り直すと、以前と同じ問題を引き継いでしまう可能性があります。
例えば、現在の文章やページをそのまま新しいデザインに移しただけでは、見た目は変わっても、情報の分かりにくさは改善されません。
反対に、整理することを優先するあまり、実際によく見られているページや、問い合わせにつながっているコンテンツを削除してしまうケースもあります。リニューアル前には、アクセス解析だけでなく、問い合わせ内容や営業現場でよく受ける質問、社内で更新しにくい部分なども確認する必要があります。
そのうえで、現在の情報を次のように分けて考えます。
- そのまま残す情報
- 内容を修正する情報
- ほかのページと統合する情報
- 削除する情報
- 新しく追加する情報
すべてを残す必要はありませんが、すべてを捨てて一から作り直せばよいわけでもありません。現在のホームページに蓄積されている情報の中には、顧客にとって役立つものや、自社の強みを伝えるうえで欠かせないものが含まれている可能性があります。
リニューアルは、単に新しいものへ置き換える作業ではありません。今ある情報を確認し、活かせるものを残しながら再編集することが重要です。
3.最初からデザインの話に偏ってしまう
ホームページリニューアルを考えるとき、最初にデザインを変えたいと思うのは自然なことです。参考サイトを探したり、使いたい色や写真を考えたりすることも、制作を進めるうえでは必要です。
ただし、掲載する情報や伝える順番を整理する前にデザインを決めようとすると、制作途中で大きな修正が発生しやすくなります。
デザインは、掲載する情報を分かりやすく伝えるためのものです。誰に、何を、どのような順番で伝えるかが決まっていなければ、適切なレイアウトや表現方法も判断できません。
また、参考サイトの雰囲気だけを基準にすると、自社の特徴が反映されず、競合企業と似たホームページになることもあります。デザインを考える前に、少なくとも次の点を整理しておきましょう。
- 誰に見てもらいたいのか
- 何を伝えたいのか
- ユーザーは何を知りたいのか
- どのような順番で情報を見せるのか
- 最終的にどのような行動につなげたいのか
目的や情報を整理したうえでデザインを考えることで、見た目の印象と伝える内容を一致させやすくなります。
4.制作会社に任せきり、または細部まで指示しすぎる
ホームページ制作には、依頼する企業と制作会社の双方が関わります。どちらか一方だけで進めようとすると、認識のずれが起きやすくなります。制作会社にすべて任せれば、手間をかけずにホームページが完成するように思えるかもしれません。
しかし、制作会社がホームページの構成やデザインを考えることはできても、社内に蓄積されている知識や顧客との関係、事業を始めた背景まで、最初から理解しているわけではありません。自社のことを十分に伝えないまま任せてしまうと、内容が一般的になり、ほかの企業との違いが見えにくくなることがあります。完成後になってから「自社らしさが感じられない」「伝えたかったことが入っていない」と気づく可能性もあります。
一方で、依頼する側がページの配置や文字の大きさ、ボタンの位置などを細かく指定しすぎることにも注意が必要です。細かな部分だけに議論が集中すると、ホームページ全体の目的やユーザーの使いやすさが置き去りになることがあります。制作会社へ依頼する際には、役割を適切に分けることが大切です。
依頼する企業は、現在抱えている課題や事業内容、顧客の特徴、自社の強み、社内事情などを共有します。制作会社は、それらの情報をもとに、サイト構成や情報の順番、ユーザー導線、デザイン、実装方法を提案します。
制作会社に任せきることと、専門的な部分を任せることは同じではありません。自社にしか分からない情報はきちんと伝えながら、情報設計や表現方法については制作会社の知見を活かすことが、リニューアルを円滑に進めるポイントです。
5.公開することをゴールにしてしまう
ホームページリニューアルは、公開した時点で一区切りとなります。しかし、公開そのものを最終的なゴールにしてしまうと、新しいホームページも少しずつ現在の事業や顧客の状況と合わなくなっていきます。
会社のサービス内容や実績、採用情報、顧客から寄せられる質問は、時間とともに変化します。公開時点では十分だった情報も、数年後までそのまま使えるとは限りません。
また、実際にホームページを公開して初めて分かることもあります。想定していたページがあまり見られていなかったり、予想していなかったページから問い合わせが発生したりすることがあります。問い合わせの数だけでなく、どのような相談が増えたのかを確認することで、ホームページが適切な相手に情報を届けられているかも判断できます。
リニューアルの計画では、公開後の運用も含めて考えておきましょう。
例えば、次のような内容です。
- 誰が情報を更新するのか
- どのページを定期的に確認するのか
- 実績やお知らせをどの程度の頻度で追加するのか
- アクセスや問い合わせ内容をどのように確認するのか
- 社内で対応できない更新を誰に依頼するのか
- システムやセキュリティをどのように保守するのか
ホームページは、公開時点で完全な状態を目指して終わるものではありません。ユーザーの反応や事業の変化を確認しながら、情報を追加したり、構成を見直したりして育てていくことが大切です。
リニューアルの失敗を防ぐために整理したいこと
ホームページリニューアルで起こる失敗を防ぐには、制作を始める前に、いくつかの内容を整理しておく必要があります。
まず確認したいのは、次のような内容です。
リニューアルの目的
現在のホームページで何に困っているのか、リニューアル後に何を変えたいのかを整理します。問い合わせを増やすことが目的なのか、サービスを理解しやすくすることが目的なのかによって、必要なページや導線は変わります。
対象となるユーザー
ホームページを誰に見てもらいたいのかを確認します。同じサービスでも、初めて情報を探している人と、複数の企業を比較している人では、必要とする情報が異なります。企業側が伝えたいことだけでなく、ユーザーが判断するために何を知りたいのかを考える必要があります。
現在掲載している情報
既存のページや文章について、残すもの、修正するもの、削除するものを整理します。アクセス解析の数字だけではなく、顧客からよく受ける質問や営業時に説明している内容なども、新しいホームページに必要な情報を考える材料になります。
社内の進行体制
誰が制作会社との窓口になるのか、誰が最終的な判断をするのかを決めておきます。複数の部署が関わる場合は、どの段階で誰に確認するのかも整理しておくと、制作途中の停滞を防ぎやすくなります。
公開後の運用
誰がどの情報を更新するのか、制作会社にどこまで依頼するのかを確認します。更新方法や保守の範囲を公開後に考えるのではなく、制作中から運用方法を想定しておくことが重要です。
まとめ
ホームページリニューアルの失敗は、完成したデザインだけに原因があるわけではありません。
- リニューアルの目的が曖昧
- 現在のホームページを十分に確認していない
- 情報より先にデザインを決めている
- 制作会社との役割分担が曖昧
- 公開後の運用を考えていない
といった、制作前や進行中の判断が、完成後の成果に大きく影響します。
大切なのは、最初からすべてを決めることではありません。
現在どのような問題があり、リニューアルによって何を変えたいのかを整理し、制作会社と目的や判断基準を共有しながら進めることです。ホームページの見た目を新しくすることだけを目的にせず、誰に何を伝え、どのような行動につなげるのかを考えることで、事業に活かせるホームページへ近づけることができます。
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投稿者プロフィール
- Webデザイナー。中小企業のコーポレートサイトを中心に、見た目だけでなく、情報の伝わり方や使いやすさを踏まえたデザインを担当。
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