ウェブ制作において、ただ美しいデザインや使いやすいレイアウトを作るだけでは、現代の複雑なビジネス環境で成功を収めることはできません。ウェブサイトを本当に効果的に活用するためには、ユーザーの本当のニーズを理解し、それに基づいてサイトを設計することが求められます。
しかし、ウェブ制作の現場では、この重要なステップを見落としてしまい、結果としてユーザーに響かないサイトを作り上げてしまうケースも多いようです。
この記事では、私たちが取り組んでいる「デザイン思考」を用いたウェブ制作についての考え方についてお伝えします。
私たちは、ウェブサイトの目的を達成することで、ビジネスにどのようにして貢献するのかをテーマにウェブサイトの制作やプロデュースを行なっています。そのために、どのようにしてイノベーションを起こし、ユーザーにとって真に価値あるウェブサイトを作り上げるのかを考え、実践しています。
この記事が、次のウェブプロジェクトで具体的な改善点を見つけ、ビジネスの成功に繋がるヒントとなれば嬉しく思います。
デザイン思考とは?
「デザイン」というキーワードに引っ張られてしまいがちですが、デザイン思考のデザインとは、私たちが想起する視覚的なデザインとは意味合いが異なります。
ここでお話すするデザイン思考とは、見た目の美しさを追求するものではなく、ユーザーの真のニーズに応える「設計」のプロセスです。この思考法の核となるのは「共感」であり、ユーザーの立場に立って問題を解決することを目指します。私たちはウェブサイト制作において、このデザイン思考を取り入れ、ユーザーに寄り添ったサイト設計を行っています。
私たちは、サイト利用の文脈を大切にしています。
サイトの利用者とサイト訪問の目的を定義し、カスタマージャーニーと呼ばれる手法などを使いながら、どのようなサイトの構造や構成になっていることが理想的なのかの仮説をたて、設計を行います。
共感による問題解決
デザイン思考の最初のステップは「共感」です。これにより、ユーザーが直面する課題や悩みを深く理解し、その解決策を探ります。共感を通じて得られた洞察は、ウェブサイトの構造やデザインに反映され、ユーザーの満足度を高めることができます。
WEB制作におけるイノベーションの定義
イノベーションは、多くの人が「革新的なアイデア」や「全く新しいもの」として捉えがちです。しかし、私たちはウェブ制作におけるイノベーションを、異なるメディアやリアルな活動とウェブサイトを組み合わせ、相乗効果を生み出すプロセスとして定義しています。
相乗効果のトリガー
ウェブサイト単体では限界があります。だからこそ、SNSやリアルイベントなどと組み合わせることで、全体としての効果を最大化させることが求められます。たとえば、リアルなイベントからウェブサイトへの誘導を設計することで、オンラインとオフラインが連携し、ユーザー体験をより豊かにすることができます。
実際に、これまで手がけたプロジェクトの中でも、ウェブを起点とした発想だけでは行き詰まることもありました。どんなにウェブサイトの設計やコンテンツに力を入れても、最初のきっかけがなければ回り始めないこともあります。そのプロジェクトでは、少額でのSNS広告がきっかけとなりビジネスが動き出し、ウェブサイトはその動きを補完し、ドライブをかける役割を担うことになりました。
観察から始まるイノベーション
見つけ出し、それを満たすためのソリューションを設計します。アンケートやインタビューでは表面化しにくい本質的なニーズを観察によって捉えることで、真にユーザーに寄り添ったサイトを作り上げることが可能です。
観察の重要性
アンケートやデータ分析は役立つ情報を提供しますが、そこには常にバイアスや限界があります。一方、観察はユーザーの無意識の行動を捉え、それが何を意味するのかを深く洞察する手段です。たとえば、ユーザーがどのようなページに長く滞在するのか、その動きを観察することで、彼らが求めているコンテンツや体験を明確にすることができます。
例えば、複数パターンによる広告テストでも、人が何にベネフィットを感じるのかは、いつも同じではなく、TPOに大きく左右されるものだということがわかります。
潜在的ニーズを見つけるための観察
競合他社や過去の成功事例にとらわれることなく、ユーザーの潜在的ニーズを見つけ出すことが重要です。「カフェだからくつろげる空間が必要だ」という固定観念や、「ライバルが新製品を出したから我々も同様にしよう」といった競争意識は、ユーザーの本当のニーズを見失わせる可能性があります。観察に基づいたデザイン思考は、このような固定観念を打破し、ユーザーが本当に求めているものを見つけ出すための有効な手法です。
デザイン思考によるサイト制作の未来
デザイン思考を活用すれば、ウェブ制作においてもイノベーションを起こすことができます。それは、単に美しいサイトを作ることではなく、ユーザーのニーズに真に応えるサイトを作り上げることです。そして、それを実現するためには、サイト制作の枠を超え、リアルやSNSなどの他のメディアとの連携を考えることが必要です。
まとめ
デザイン思考を取り入れたウェブ制作は、単なるデザインやレイアウトを超えた、ユーザー中心のアプローチです。観察を通じてユーザーの潜在的なニーズを捉え、それに基づいてウェブサイトを設計することで、ビジネスにおける真のイノベーションを起こすことが可能です。これからのウェブ制作においては、このアプローチを取り入れることが、成功への鍵となるでしょう。
投稿者プロフィール
- プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。
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