大海原をゆく船

WEB制作の現場では「効率化」という言葉がよく使われます。私たちの会社でも夕会などでよく耳にするし、日報でも課題としてあがる頻度は多いように感じます。

作業が効率的に進むことは経営的にも望ましいし、メンバーには残業を抑えて個人の時間を充実させたり、勉強の時間にあてて欲しいと考えています。

私がWEB業界での仕事に就いてずいぶんと経ちますが、思い返せばずっと効率化を追い求めてきたなぁと感じます。スタッフとして働いていた時には、とにかく効率化しないと仕事が終わりませんでした。役職についてからはもっと大きな視点で効率化を考えるようにもなりました。

その一方であえて非効率なこともたくさんやってきたし、効率や非効率なんてものを度外視したこともたくさんやってきたなぁという気もします。

でも、こうしたことを無駄な経験だと思ったことは一度もありません。

今の自分をつくるために必要なプロセスだったと捉えています。

非効率な経験こそが効率化を促す

作業をしていて効率が悪いなと感じるということは、そこに「このままじゃダメだ」というなんとも言い難いモヤモヤやもぞもぞするものがあるはずです。

実際のところ、一人一人がそういう感覚をもたない限り効率化は進みません。

毎日のちょっとしたことに垣間見える小さな非効率も、もうどうしようもないくらい効率が悪くてイヤになっちゃうこともあったりもしますが、投げ出さずに知恵を絞れば改善はできるものです。

先ほど書いたように、私自身、これまで効率化を追い求めてくる中でいろいろと勉強もしましたが(「させてもらいました」が正しい…)、効率化というものは本を読んだり講義で方法論は学べたとしても、結局は経験しないと身につかないことなんだなというのが現時点での結論です。

うまくいかないこともまた経験。「なんじゃこりゃ」という状況に陥ったら成長のチャンスです。

時間がかかるとか進まないとか、ストレスがたまることもありますが、それらを必死になんとかする中で乗り越えた経験の積み重ねこそが効率化につながります。おまけに自信にもつながるんだなぁと改めて実感しています。

メンバーの仕事ぶりを見ていると、「え、いつの間に!」ということもあれば「まだまだだねぇ」というようなこともありますが、できることは増えていくし、日々スピードアップしているのもわかります。毎日小さな経験を重ねながら前進しているのを感じます。

最近はメンバーからの質問の質があがり、回数は減って嬉しいような寂しいような…。

いや、頼もしい限りです。

経験の積み重ねが対応力につながる

スマートに、効率的に仕事を進めるためのベースとなる仕組みは、誰かの経験と改善の積み重ねによって生まれたものです。

今、社内で取り入れているワークフローも、これまでの私の経験をもとに自社で使いやすいようにブラッシュアップをしながら運用しています。永遠のベータ版とはよくいったもので、こうした仕組みに完成はないんだろうなと思っています。

技術が変わればワークフローも変化を求められることもあるし、働き方が変わっても見直しが必要になります。コロナによって変わったこともたくさんあります。

また、新しい領域への挑戦にはトライアンドエラーがつきものです。

そうした変化や見直しをメンバーひとりひとりが自分ごととして考え続けていることが、ブリッジの強みなんだと最近感じられるようになりました。というよりも、お客様の評価との結びつきを感じられるようになったという方がイメージに近いかもしれません。

サイト制作後の運用業務でお客様から私たちが評価を頂いているのは、マーケティングやクリエイティブの施策だけではなく、運用ワークフローの整備とその時々の対応力です。

WEBの活用は、知識やノウハウだけでは進みません。「やったことがある」「再現できる」「継続的に改善できる」ことが大きな推進力になります。経験に裏付けられた対応力は一朝一夕で身に付くものではありません。

運用の中では、私たちだけではなくお客様にも経験値を蓄積して頂くことになるので、ともに成長していくことができます。

このようなダイナミズムを感じることが仕事の面白さなんじゃないかなと思いながら奮闘する毎日です。

ブリッジはメンバーにどんどん仕事を任せます。喜びもあるし正直しんどさもあるかもしれないけれど、その経験は確実に糧になっているし、お客様にも価値を提供できていると感じています。

無駄な経験なんて一つもないんです。

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。