認知されたいなら、どんな分野でもいいから一番になれ!みたいな記事を見かけたことはないでしょうか。

日本で一番高い山は?

と聞かれて「富士山!」とは答えられるけれど、二番目に高い山はわからないでしょう?ほら、一番にならないと覚えてもらえないよ、みたいな文脈で語られることが多いようです。

で、一番をとらなきゃだめだ、そのためにターゲットを絞り込め!というストーリーへとつながっていきます。

これは、人が何らかの行動をする際に、最初に思い出してもらえるかどうかの「第一想起」の大切さについての例え話です。

確かに日本で二番目に高い山なんてパッと思いつきません。なので、一見正しいようですけど、この教えに従っていたずらにマーケットを狭めてニッチな一番をとっても、チャンスが広がるなんてことはなくて、逆に苦しくなるんじゃないかと思っています。

WEBでいえば、ニッチ化して検索母数が少ないマーケットで一番をとっても何も起きません。そこに顧客はいないからです。

さっきの日本で一番高い山の質問の問題点の一つは、山に詳しい人に聞いているわけではないということです。山登りが好きな人だったら、二番目に高い山を答えられるんじゃないでしょうか。

サッカーが好きな人だったら今年のJリーグで2位だったチームを言えるし、野球が好きな人だったら日本シリーズで優勝を逃したチームを言える人は多いんじゃないかと思います。

もう一つの問題点は、山の質問は、日本で一番高い山を知っているかどうかを聞いているに過ぎないということです。マーケティングやブランディングの視点で考えれば、認知されるということと好かれる、買ってもらうということは違います。

ニッチ化してただNo1になることを目的にしても意味がないわけです。

好きになってもらうこと。思い出してもらうこと。

今、弊社は原則として在宅勤務にしていますが、僕だけは週に1回はオフィスに出社して仕事をする日があります。

出社した時の楽しみはズバリ「ランチ」なのですが、食いしん坊なので前日にはどのお店に行くか、何を食べるかを決めています。

会社の近辺には美味しいお店がとにかくたくさんあって、ランチを食べ歩くのが楽しみだったのですが、今は週に1回だけなので絶対に行きたいお店に狙いを定めて出社しています。

先週はユッケジャン定食、今週はつけ麺を食べたのですが、僕が行ったお店は果たして高田馬場で知名度が一番のお店なのでしょうか。

たぶん、違うと思います。

じゃあ、なぜそのお店に行ったのか。

知名度では一番ではないけれど、僕の中での「今週の食べたいぞランキング」で一番だったからですよね。世の中的にどうかではなくて、あくまでも「僕」の話です。

知名度も大切ですけど、いろんな選択肢があるこのご時世では、好きかどうか、思い出してもらえるかどうかはさらに大切なんじゃないかなと思います。

なぜなら、知っているだけではなかなか行動につながらないからです。好きということが行動のトリガーになり、モチベーションになることはご自身の経験からもわかるかと思います。

つまり、マーケティングでは、ターゲットの心の中のランキングで上位に上がることを考えれば良いということです。

ターゲットを絞り込むのは、自分たちの強みを発揮できるのはどんなマーケットかを特定して、その分野で好きになってくれる人を最大化するためです。

僕の好きなカメラも同じで、認知度やシェア、売上で選ばれるわけではありません。そのブランド(メーカー)が好きとか、自分に必要な機能が備わっているからとか、そんな理由で選ばれることがほとんどだと思います。

かつては一番のものを買っておけば安心なんて時代もありましたが、今は違います。多様性の時代では、いかにして好きになってもらって、思い出してもらって、選んでもらうかという発想がより求められることになります。

顧客接点となるブランドイメージ

こんな見出しをつけると堅苦しいのですが、好きになってもらう、思い出してもらう、選んでもらうためには、ブランドイメージが重要になってくることがわかります。

誰に、何を伝えたいのか。その結果、どういう存在になりたいのか。そのためにはどう伝えれば良いのか、という順番で考えていくことになります。

ユーザーとの接点は、すべて顧客の頭の中でブランドイメージをつくるものです。WEBサイトのビジュアルデザインはもちろんのこと、SEOも広告もブランディングの一部です。SNSもそうですね。

僕たちはこんな風に考えているので、サイトの新規立ち上げもリニューアルも、写真撮影も動画制作もブランドの話から始まります。

これまでの経験からも、ブランドの話をはしょるプロジェクトはうまくいかないんですよね…。

追伸

ちなみに実験を兼ねてこんなインスタやってます

昨日高田馬場で

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。