SEO対策の考え方

WEBサイトの新規立ち上げやリニューアルの見積作成の際に悩ましいのが「SEO対策あり」「SEO対策なし」の2パターンを依頼されることです。「SEOあり」「SEOなし」というのは、何か特別な設定をイメージしているのかもしれませんが、実際のところ特別な設定はありません。

キーワードを過剰に埋め込むとか、検索エンジンに対するハックのような手法は過去のものです。こういった手法はまだ一部有効なものもありますが、どんどん淘汰されている状況をみるに、もはや費用をかけて取り組む価値はないように思います。

トレンドを追いかけつつ本質的な視点を大切にする

検索エンジンの進化はめざましく、僕たちのようなWEB制作会社は技術的な対応はもちろんのこと、ものごとのとらえ方や考え方のアップデートも迫られます。

SEOに本気で取り組もうとすれば、「どうつくるか」というよりも「何をつくるか」、そして「どう運用していくか」の重要度が高くなっていきます。

大手企業には、SEOを含めたWEBマーケティングや継続的な改善を担う部署があることが多く、情報に関する感度も高いので、WEBの戦略的な活用に対する理解度は高いといえます。

一方で、中小企業には専門部署や専任の担当者がいることも少なく、WEBのトレンドに関する情報もアップデートされにくいので、どうしても後手を踏んでしまう傾向があります。

この記事では、WEBを活用したいと考える多くの中小企業に向けて、WEBのトレンドを追いかけつつも、押さえておきたい本質的な視点でのSEOの考え方についてお伝えしたいと思います。

「Google が掲げる 10 の事実」をもとにアプローチを考える

検索エンジンとの向き合い方かを考えるヒントはGoogleのサイトで述べられているミッションにあります。

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。

https://about.google/

これだけを読んでもすぐにはピンと来ないかもしれませんが、次に引用する「Google が掲げる 10 の事実」を読むと、検索エンジン、WEBサイトに対してどのように向き合い、アプローチをすればよいかのイメージがつきやすくなるかと思います。

ちょっと長いコンテンツの引用になりますが、どれもWEBを活用するうえでは欠かせない視点です。検索エンジンを提供する企業がどんなことを考えているのか、なぜ、モバイル端末を重視しているのかなどに注目して目を通してもらえればと思います。

Google が掲げる 10 の事実

Google がこの「10 の事実」を策定したのは、会社設立から数年後のことでした。Google は随時このリストを見直し、事実に変わりがないかどうかを確認しています。Google は、これらが事実であることを願い、常にこのとおりであるよう努めています。

1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。

Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。新しいウェブブラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも、Google 内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視してきました。Google のトップページはインターフェースが明快で、ページは瞬時に読み込まれます。金銭と引き換えに検索結果の順位を操作することは一切ありません。広告は、広告であることを明記したうえで、関連性の高い情報を邪魔にならない形で提示します。新しいツールやアプリケーションを開発するときも、もっと違う作りならよかったのに、という思いをユーザーに抱かせない、完成度の高いデザインを目指しています。

2. 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。

Google は検索を行う会社です。検索問題を解決することだけに焦点を置いた世界最大級の研究グループを有する Google は、自分たちにできることが何か、それをもっとうまくやるにはどうすればいいかを知っています。複雑な問題も反復に反復を重ねて解決し、すでに膨大なユーザーが情報をすばやくシームレスに検索できているサービスに対しても、絶え間ない改善を続けています。検索分野で培った技術は、Gmail、Google マップなどの新しいサービスにも応用されています。Google では、他の分野でも検索技術を活用することで、ユーザーが生活のあらゆる面においてさまざまな情報にアクセスして利用できるよう努力を続けています。

3. 遅いより速いほうがいい。

Google は、ユーザーの貴重な時間を無駄にせず、必要とする情報をウェブ検索で瞬時に提供したいと考えています。自社のウェブサイトにユーザーが留まる時間をできるだけ短くすることを目標にしている会社は、世界中でもおそらく Google だけでしょう。Google は、Google のサイトのページから余計なビットやバイトを削ぎ落とし、サーバー環境の効率を向上させることで、自己の持つスピード記録を何度も塗り替えてきました。検索結果の平均応答時間は 1 秒足らずです。Google が新しいサービスをリリースするときには、常にスピードを念頭に置いています。モバイルアプリをリリースするときも、新時代のウェブにふさわしい高速ブラウザの Google Chrome をリリースするときも同じです。今後も、さらなるスピードアップを目指して努力を続けていきます。

4. ウェブ上の民主主義は機能する。

Google 検索が機能するのは、どのサイトのコンテンツが重要かを判断するうえで、膨大なユーザーがウェブサイトに張ったリンクを基準としているからです。Google では、200 以上の要素と、PageRank™ アルゴリズムをはじめとするさまざまな技術を使用して、各ウェブページの重要性を評価しています。PageRank のアルゴリズムでは、ページ間のリンクを「投票」と解釈し、どのサイトが他のページから最高の情報源として投票されているかを分析します。この手法なら、新しいサイトが増えるたびに情報源と投票数が増えるため、ウェブが拡大するにつれて効果も高まります。また Google では、多くのプログラマーの力の結集によって技術革新が進むオープンソース ソフトウェア開発にも力を入れています。

5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。

世界はますますモバイル化し、いつどこにいても必要な情報にアクセスできることが求められています。Google は、モバイル サービスの新技術を開発し、新たなソリューションを提供しています。スマートフォンから Google 検索にさまざまな方法でアクセスできるだけでなく、メールを読んだり、カレンダーでイベントを確認したり、動画を見たりなど、世界中のあちこちからスマートフォンをさまざまな用途に使えるようになりました。また、無料のオープンソース モバイル プラットフォームである Android では、さらに画期的な革新をモバイル ユーザーに提供したいと考えています。Android は、インターネットの土台にあるオープン性をモバイルの世界にもたらすものです。Android によって、ユーザーの選択肢が広がり、先進のモバイル体験が可能となるだけでなく、携帯通信事業者、メーカー、デベロッパーにとっては、新たな収益機会が生まれます。

6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。

Google は営利企業です。企業に検索テクノロジーを提供することと、Google のサイトやその他のウェブサイトに有料広告を掲載することで収益を得ています。世界中の数多くの広告主が AdWords で商品を宣伝し、数多くのサイト運営者が Google の AdSense プログラムでサイトのコンテンツに関連する広告を配信しています。広告主だけでなく、すべてのユーザーの皆さんにご満足いただくため、Google では広告プログラムとその実践について次のような基本理念を掲げています。

A. 検索結果ページには、その内容と関連性のない広告の掲載は認めません。Google は、広告というものはユーザーが必要としている情報と関連性がある場合にのみ役立つと考えています。そのため、検索結果ページに広告がまったく表示されない場合もあります。

B. 派手な広告でなくても効果は上げられると Google は考えています。ポップアップ広告は邪魔になってユーザーが見たいコンテンツを自由に見られないので、Google では許可していません。Google は、閲覧しているユーザーに関連性のあるテキスト広告のほうが、ランダムに掲載される広告よりずっとクリック率が高いことに着目しました。企業の規模には関係なく、あらゆる広告主がこのターゲット広告を利用できます。

C. Google が掲載する広告には、スポンサーによる広告リンク(スポンサーリンク)であることを必ず明記しているため、検索結果の完全性が損なわれません。Google が検索結果のランクに手を加えてパートナー サイトの順位を高めるようなことは絶対にありません。PageRank は、お金で買うことはできません。Google のユーザーは Google の客観性を信頼しているのであり、その信頼を損なって短期的に収益が増加しても意味がないのです。

7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。

Google が他のどの検索サービスよりも多い HTML ページのインデックス登録に成功した後、Google のエンジニアたちは、簡単には検索できない情報に目を向けました。その一部は、電話番号や住所、事業別ディレクトリなどで、新しいデータベースを統合するだけで検索可能になりました。しかし、中にはもっと工夫が必要なものもありました。たとえば、ニュース アーカイブ、特許、学術誌、数十億枚の画像や数百万冊の書籍を検索する機能です。Google の研究者たちは、今後も世界中のあらゆる情報を検索ユーザーに提供するために開発を続けていきます。

8. 情報のニーズはすべての国境を越える。

Google の創業地はカリフォルニアですが、全世界のユーザーにすべての言語で情報へのアクセスを提供することを目標としています。そのため、60 以上の国にオフィスを構え、180 を超えるインターネット ドメインを有し、検索結果の半分以上を米国外のユーザーに提供しています。Google の検索インターフェースは 130 を超える言語で利用でき、検索結果を自国語のコンテンツのみに制限できる機能もあります。さらに Google では、その他のアプリケーションやサービスについても、できるだけ多くの言語と利用しやすいフォーマットで提供することを目標としています。Google の翻訳ツールを使用すれば、自分の知らない言語で書かれた地球の反対側のコンテンツも読むことができます。こうしたツールやボランティア翻訳者の力を借りて、世界中のさまざまな国や地域に対し、サービスの多様性と品質を大幅に向上させることができました。

9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。

Google の共同創設者は、仕事は挑戦に満ちていなければいけない、挑戦は楽しくなければいけないという考えで会社を作りました。適切な企業文化があるほうが、創造性のある優秀な成果が上がりやすくなると Google は考えています。企業文化とは、ラバランプやバランスボールのことだけではありません。チームで目標を達成することや、個人の業績に対する誇りが会社全体の成功につながるということを強調しています。Google は社員を厚く信頼しています。Google の社員たちはさまざまなバックグラウンドを持ち、エネルギーと情熱をほとばしらせながら、仕事、遊び、人生に独創的にアプローチしています。打ち解けた雰囲気の中、カフェ、チーム ミーティング、ジムなどで生まれた新しいアイデアは、またたく間に意見交換が進み、試行錯誤を経て、すぐに形になります。こうしたアイデアが、世界展開を視野に入れた新しいプロジェクトの出発点になることもあるかもしれません。

10. 「すばらしい」では足りない。

Google にとって一番であることはゴールではなく、出発点に過ぎません。Google では、まだ達成できないとわかっていることを目標に設定します。そうすることで、目標達成に向けて全力を尽くし、期待以上の成果を残せるからです。Google は、技術革新を繰り返し、機能性の高いサービスに対して、さらに期待を上回る改良を加えています。たとえば、正しいスペルの単語を入力したときに正常に検索されるのを見たあるエンジニアは、スペルが間違っているときの処理方法について改善の余地を見出し、直感的で役に立つスペル チェッカーを開発しました。

たとえユーザーが自分の探すものを正確に把握していなくても、ウェブで答えを探すこと自体はユーザーの問題ではなく Google の問題です。Google は、全世界のユーザーがまだ具体的にイメージしていないニーズを予測し、新たなスタンダードとなるサービスを作り出しています。たとえば、Gmail を始めたときには、当時のどのメールサービスよりも多くの保存容量を提供しました。今考えると当たり前のサービスですが、そう思えるのは、現在 Google のメール容量が新たなスタンダードになっているからです。このような変化をもたらすのが Google の望みであり、新たな一歩を踏み出す方向を Google は常に探しています。つまり、現状に満足しないことが Google のすべての原動力となっているのです。

https://www.google.com/about/philosophy.html?hl=ja

では、具体的に何をすればよいのか?

なかなかボリュームがあるので、すべてを理解して実際に具体的な施策に落としていくのは時間がかかるかもしれませんが、企業規模や業界、業種にかかわらず大切なことは、冒頭の「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」に集約されていると思います。

まず最初にやるべきことは、どんな人にサイトに訪れて欲しいのかを明確にすることです。

BtoCは比較的わかりやすいと思いますが、BtoBサイトにおいても、サイトを訪れるのは会社ではなく人です。担当者はどんな人なのかをはっきりさせる必要があります。

SEO対策で大切なのは、最初にキーワードを考えることではなく、自社の顧客が何を必要としているかを理解することです。必要とする情報を手に入れるために、どのような行動をとるのかをとらえることで、サイトにどのようなコンテンツがあれば顧客の要求を満たすことができるかを考えることができるようになります。どのようなキーワードで検索をしてコンテンツにたどり着くのか、たどり着いた人にどのような行動をとって欲しいのかを明示していきます。

「キーワードでひっかける」という発想を捨てて、ユーザーが必要とする情報をサイトに用意するというホスピタリティの発想に切り替えることだと理解しています。

サイトを訪れても満足のいく情報がなければ、次の行動にはつながらないでしょう。

誰の、どんな要求に応えるのかを明らかにして、一つ一つコンテンツ化をしていくことがSEO対策の本質です。トレンドやマーケットの状況に応じて、新たなコンテンツを投入したり、過去のコンテンツのアップデートをしていくことも必要になります。

WEBサイトの運用計画を立てる

2021年1月だけでも、Googleのアップデートは5回ほどあったと言われていますが、その対策方法は検索意図にあったコンテンツになっているかを見直し、記事のチューニングをすることに尽きます。

アップデートによって順位の変動が起きることもあるので、一喜一憂しがちですが、計画的に運用をしていれば対応はしやすくなります。

新しいコンテンツをつくるのと並行して、タイミングを見計らって既存のコンテンツの見直しをかけ、必要に応じて修正をかけていくといったフローをつくることは、リソースが限られる中小企業でも比較的実行しやすいのではないでしょうか。

SEO対策は中長期にわたって結果を求める施策なので、運用の計画もたてやすいと考えます。

多くの中小企業はサイトの立ち上げやリニューアルのあとは、コンテンツ運用がなされない傾向があります。結果として、期待していた効果が得られないと判断される負のスパイラルに陥ることも少なくありません。

「SEO対策あり」のようなどこか他力本願のようなアプローチではなく、「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」という発想のもと、ホスピタリティをもってコンテンツを運用するのが、本質的かつ最強のSEO対策だと考えています。

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投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。WEBサイトの制作・構築から集客・販促などの活用コンサルティングまで中小企業のWEBサイトの活用をサポートしている。