成功例は本当に参考になるのか問題

ビジネス本を開くと、どこかの企業の「成功例」が語られている。
SNSを開けば、誰かの「これで成功しました!」が流れてくる。
でも、それを読んで「よし、これだ!」とそのまま実行して成功した話をあまり聞かない。

それもそのはずで、成功例というのは「過去の話」であり、「他人の話」だからだ。
状況も、条件も、考え方も違う。
再現性は……たぶん、ほとんどない。

でも、まったく意味がないわけでもない。
「なぜ成功したのか?」という視点で見ると、そこには何らかの法則や原理が隠れていることがある。
個別の戦略やテクニックはそのまま使えなくても、抽象度を上げて見れば「本質的な成功要因」が見えてくる。

たとえば、
「A社はSNSマーケティングで成功しました!」という事例があったとする。
これを「よし、うちもSNSをやろう!」と考えると、大体うまくいかない。

でも、もう少し深く考えてみる。

  • なぜA社はSNSを使ったのか?
  • どんなターゲットがいて、何を求めていたのか?
  • どんな情報発信をしたのか?
  • どんなタイミングで仕掛けたのか?

こういうところまで分解すると、A社の本当の強みや、成功の裏にある「共通する法則」が見えてくる。
そこを自分の状況に当てはめてみる。
SNSが合わないなら、別の手段に置き換えればいい。
その「成功例」のエッセンスを活かして、カスタマイズする。

結局のところ、成功例は「そのままコピーしてもうまくいかない」が、
「抽象化して、自分用にカスタマイズできれば役に立つ」。

だから、成功例を集めるよりも、
成功例を「どう料理するか?」のほうが大事なのかもしれない。

「このレシピは真似できるか?」ではなく、
「この料理の隠し味は何か?」を探す。

そう考えると、ビジネス本も、SNSの成功談も、
少しは面白く読めるようになる。

プロデューサー日誌

プロデューサー日誌

ブリッジ代表の橋本の日々の気づきや考えに関するコラム。

バックナンバーはこちら

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。