新宿のWEB制作会社ブリッジの入り口

「キレイなだけで成果が上がらないデザイン」みたいなフレーズを目にすることがあります。

言わんとしていることはわかりますが、よくよく考えてみると興味深いフレーズです。

「キレイなだけで成果が上がらないデザイン」があるなら「キレイで成果につながるデザイン」とか「キレイじゃないけど成果につながるデザイン」、さらには「キレイじゃないし、成果にもつながらないデザイン」も存在するのかって思いませんか?

そう、存在するんです。

ポイントは「キレイなデザイン」であることが、そのサイトで求められる「成果」に対して必要かつ十分な条件なのかどうかということです。

例えばですが、スーパーのチラシであれば、余白をたっぷりとったシンプルで上質感のあるデザインは求められていません。旬な食材がお値打ち価格で手に入ることを伝え、足を運ぼうと思わせること求められますし、そのためには情報量も必要です。

実際にお店に足を運ぶ人が増えて売上が上がれば、そのデザインは成功です。

キレイであることが成功のための条件ではないということですね。

つまり、目的によってデザインは変わるということです。

何のための、誰のためのデザインなのか

WEBサイトで得られる効果はデザインによって大きく変わります。目的を達成するという観点では、良いデザインと悪いデザインが存在するわけですが、良いデザインをつくるためには、もう少し大きな視野をもって考える必要があります。

WEBサイトをつくる上で大切なのは、サイトの目的を明確にすることです。

WEB制作とは、実現したい「あるべき姿」と「現状」のギャップを洗い出して、解消していくための作業です。作業を積み重ねた成果物としてアウトプットされるのがWEBサイトです。WEBサイトをつくること自体を目的にしてはいけません。分析も設計も、デザインもすべて、「あるべき姿」を実現するためのタスクです。

なのですが、ここで重要になってくるのが「現状」です。

「現状」を踏まえずに「あるべき姿」だけを求めてしまうと、スタート地点を間違うので、効果的な施策をとることはできません。

だからこそ、企業や商品・サービスの認知度、イメージ、WEBサイトがすでにあるならばアクセス数なども含めて、現状を正しく把握する必要があります。

その上で、誰に、何を、どのように伝えると目的を達成できるのか、関連する必要な施策は何かを考えていきます。

WEBの場合難しいのは、「キレイなだけで成果が上がらないデザイン」となる原因はデザインだけの問題ではないところです。集客に問題を抱えていれば、どんなにいいデザインだとしても、見てもらうことがなければ成果につなげるのは困難です。

同じように、集客に成功しても、デザインやコピーに課題があれば、成果にはつながりません。

効果的なWEBサイトをつくるためには、デザインの良し悪しだけではなく、現状を把握した上で総合的に考える必要があるのです。

キレイなデザインなのにうまくいかないケース

WEBサイトの施策は総合的に考える必要があるのですが、集客などの要素はいったん忘れて、この記事のテーマである「キレイなデザイン」について考えてみます。

「キレイなだけで成果が上がらないデザイン」となってしまうのは、ターゲットが求めているもの、伝えるべきこととデザインがかけ離れていることケースがほとんどです。伝わらないから心を動かすことができないのです。

これは、現状とあるべき姿のギャップを正しく認識できていない時に起こります。

すでにブランドが確立し認知度が高い企業や商品であれば、ブランドに対する信頼が醸成されているので、イメージ訴求に寄ったデザインでも十分に機能します。

一方で、認知が進んでいない企業や商品の場合、生活者との間には信頼関係ができていないので、信頼と理解を深めるための説明的な要素が必要になります。認知され、信頼を勝ち取るために「どんな商品なのか」を明確に伝える必要があるため、イメージではなくベネフィットを強く打ち出す現実的なメッセージが強くなっていきます。

こうして要素が多くなるとシンプルで洗練された印象は薄くなっていくことになります。

イメージ訴求でターゲットに解釈を委ねるのではなく、ベネフィットや数字などの証拠、実績など、具体的な情報をできるだけ伝えることで信頼してもらう必要があるのです。そのためには伝えるべき情報量も多くなる傾向があります。

現実的なメッセージやボリュームのある情報をいかに効果的に見せるかがデザイナーの腕の見せどころではありますが、確立したブランドのサイトをつくる時とはアプローチがまったく異なります。

クライアントの担当者と何度も検討を重ねてつくったデザインが、決裁者の好みでひっくり返る、というケースは昔に比べてだいぶ減りましたが、サイトの目的を明確にした上で、デザインについての考え方をクライアントと制作会社との間で共有しなければ、ゴールにたどり着くことは難しいでしょう。

私たちがWEBサイトを制作する時には、クライアントの現状についてお伺いするのはもちろん、その会社や商品は、お客様にとってどんなブランドなのかをもう一度棚卸しするところからご一緒させて頂いています。

クライアントと一緒にデザインを検討する際の基準は、目的を達成できそうかどうかです。もちろん、視覚的な印象も大切にしますが、目的が明確になっていれば、視覚表現だけに引っ張られることはなくなります。

成果につながるWEBサイトをつくるためには、自社の現状を再認識することは必要不可欠だと考えています。

投稿者プロフィール

橋本敬(はしもとたかし)
プロデューサー・クリエイティブディレクター。早稲田大学政治経済学部卒業。リクルートグループ、オン・ザ・エッヂ、ミツエーリンクス、博報堂アイ・スタジオを経て独立、株式会社ブリッジを設立。徹底的なユーザー視点でのWEBサイトの構築やコンテンツ制作を通じて事業課題の解決を支援している。